荒木博一「世界失敗製品図鑑」912冊目

ビジネススクールの初級マーケティングの授業で使うケースを集めたような本だなぁと感じました。あえて裏話や内部の事情に触れず、公開情報だけでまとめたと前書きにあったので、ネットニュースを読んでいるような、あまり深くない印象になっているのかもしれません。

マーケティングの授業でかつて身に染みて学んだことは「ケースで取り上げた企業は成長せず数年後に倒産またはM&Aされることがある」「不正で捕まることもある」「結局のところ、強味だと思っている点はブイブイ言わせてる時点でみんながそうじゃないかと思った部分で、あとあと思い返してみると別の要因があったりする・弱味だと思っていた部分があとで化けることもある」。なんかちゃぶ台返しみたいでよくないコメントかもしれませんが、それでも失敗をつぶさに観察してそこから学ぼうとすることは、成功したケースを読んでうっとりするよりずっと意義のあることだと思います。

でも、あまりに事実の複雑さを単純化してる感じはあるなぁ。売上とも事業の勢いともとれるイラストつきのマンガみたいなグラフは、命がけで事業に取り組んだ人たちにちょっと失礼な気もしたりするのでした。。。