佐々涼子「ボーダー」916冊目

「エンド・オブ・ライフ」と続けて一気に読みました。本当にこの人の文章は読みやすく、わかりやすくて、きれいだなあ。

難民の日本での受入問題のひどさは常軌を逸していて、それが一過性の個人のいじめとかじゃなくて国家が継続的に多数の人に対してやっているということを考えると、たいがいのことを我慢してきた私も感情を抑えられなくなることがあります。旅行や仕事でいくつかの国に行って、どれほど現地の人たちに助けられたか。彼らがどんなに温かく優しかったか。外国の人たちは日本で起こっているこういったことを知りつつあるし、映画「沈黙」だって見たかもしれない。とても恥ずかしいし、悔しい気持ちです。

ある難民支援団体を私も細々とサポートしていて、その関係で3年半ほど前に品川の入管に行って、中に入っている方々にお話を伺ったことがあります。知的でまっとうで立派な彼らに対して自分があまりに無力なことがショックで、しばらく何もできなくなってしまいました。今も私自身は何もできていないけど、この本がたくさんの人に読まれたり、映画「マイスモールランド」も高く評価されて、やっと少しずつ誰もが知る問題になってきている、暗闇を覆っていた膜がやっと破れて空気が少しずつ入ってきている、と感じます。そのきっかけになったのがウィシュマさんの事件だとしたらあまりにも悲しいけど・・・。

私が行った際に、入管の待合室にご家族ではなさそうなスーツ姿の数名の男女がいらしていて、弁護士かな、他にも支援団体があるんだろうな、と思ったのを覚えてます。もしかしたらそれが佐々さんや児玉先生だったのかも?しれませんね。

あの時期は私自身も自分の問題からやっと逃げてきたばかりだったけど、いろいろな意味で落ち着いてきたので、もっと本格的に自分が支援する側で活動できることを探してみようと思います。