この著者の本を片っ端から読んでます。どれも面白い。事実に忠実で、かつ、事実に忠実であろうとしている自分を偽りなく書こうとしている姿勢が誠実です。折しもAmazonプライムビデオで米倉涼子主演のドラマが放映されるそうで、表紙がドラマバージョンになってます。
「エンド・オブ・ライフ」もそうだけど、この著者って「死」に興味を引かれているのかな。私自身けっこう長年「死」を知りたくて、看取り士という資格を取りに通い続けた時期もあったので、理由はともかく、知りたい気持ちはなんだか共感できます。亡くなった親しい人の死を悲しみつくさないと、その先に進めないのと同じように。
といってもこの本で丁寧にさぐられるのは、死そのものではなくて、遺族には大事な人の死んだ体をどうしてあげることが必要か、それを国際霊柩送還に携わる人たちがどのように行っているか、ということです。死にゆく人の気持ちでも、死そのものでもなく。
この本には、国際葬送の実際を知ることでほっとした部分と、それより深い死の世界のふちを回って戻ってきたような、知り尽くせなかった部分への意識があるように思えます。
それにしても、死者を新聞やテレビで扱うときに「変わり果てた姿」って言うのは何なんだろう。エンバーミングが発達してからは、一見いつものような姿なんだろうけど、それでも命のあるなしで全く別のものになることはわかる。この本ではこの表現は使ってないけど。
今は「死」にはもうあまり興味がなくて、具体的な「終活」のほうが興味あるな。最後にやらないといけない仕事がちゃんとわかって、備えが済んだら、南米のジャングルでも南極でも、安心して出かけられるような気がします・・・。