スティーヴン・ハンター「ダーティ・ホワイト・ボーイズ」1056冊目

<結末にふれています>

「あの本、読みました?」という番組があって、読書家の女子アナが何人か登場した際に、グレイヘアで上質な着物をたおやかに着こなした近藤サトが「ぜったいおススメの本を1冊だけ選んで」であげたのが、この本。よほど面白いのかなと思って読んでみて驚いた。なんて乱暴で暴力的でクソでゲスで最低な娯楽小説だ!!

さきほどの形容詞が全部適用される、異常に頭が切れるが最低最恐の犯罪者、ラマーに立ち向かうのが、典型的な男が憧れるジョン・ウェイン的警官バドは、実は自分の相棒の若い妻と激しく不倫をしていて、それを気に病んでもいる。

ラマーが、知恵はないけど強烈な体格と腕力を持つ彼の弟オーデル(いっしょに服役中)と、美術の才能はあるけどまるで腰抜けのリチャードを伴って脱獄をはかるところからこの小説は始まり、ラマーは最初の章が終わるまでにすでに数名を暴力的に殺害します。このあたりから後半に至るまでは、殺戮に殺戮を重ねる逃亡劇が続き、読むのちょっとしんどいかな~と思ったりします。

しかし終盤からの勢いがすごい。バドはなんの巡りあわせか、1度バドに撃たれて一命をとどめたあと再びまた彼の居場所にたどりつき、三度彼の潜伏地に乗り込んだ際にまたまた撃たれて、その後3カ月も生死の境をさまよいます。

<以下ネタバレというか、そうはならなかった結末について勝手に書いています>

ちなみに、最後に彼が乗り込んだのはバドの愛人ホリーの家。ホリーは殺されないよう、バドの妻を装うのですが、リチャードだけが「バドの息子の母にしては若すぎる」と指摘しても「あの子は彼の連れ子なのよ」とホリーに切り返されて、バレずに済みます。実はこの浮気は息子にバレていて(妻にも)、追い詰められたバドはこの直前にホリーに別れを告げたあとでした。命を救いに戻ったのはヒーローポリスとしては当然だけど、食い下がるホリーに平手打ちをくらわしたあとは、ラマーでもリチャードでもなく逆上したホリーに撃たれてバド死ぬ、となるのかなと思って見てしまいました。映画の見すぎで心が歪んでる、私。

ともかく終盤の盛り上がりがすごくて、こんな小説を好む近藤サトってなんてビッチなんだ、とか書きそうになってたけど、推薦する気持ちもわかるわと思ってしまった私も十分ビッチなのでした。