なんともいえず、行き場のない小説だなぁ。コロナ禍、大きな台風、こども食堂、ワクチン。相変わらずの読ませる力で、面白く読み進めていくんだけど、だんだん不穏な気持ちになってくる。著者はワクチンを疑っているけど害悪だと決めつけるわけでもないのか。結論のようなものを何も提示しない。
主要な登場人物の片方は中年女性で、丁寧に体によい食事を作り続けたけど子どもたちは疎遠で孫にも滅多に会えず、孤独に暮らしている。彼女にカタルシスが訪れればいいのに、と途中で思ってた。自分で用意した方舟をぱーっと燃やして、問題は何も解決しないにしろ、スカッとするのかな、とか。
信じるなにかが欲しい、とは思う。でも信じ切るに足るものは存在しなくて、どの宗教も、自分をだましだましコミュニティにいつづけるような感じだろうなと思う。
日曜の夜にこんなの読み終わってしまって、この不穏な気持ちをどうしろというのか・・・。普段外で一人飲みってしないけど、賑やかな居酒屋でも行って来ようかなぁ。