Audibleで聴きました。一人の女性ナレーターによる朗読。大人の男性も出てくるけど、ほぼ違和感なく、かつ、複数の登場人物を区別できなくなることもなく、面白く聞けました。
ジャンルでいうと、ダークファンタジーという感じを受けましたが、ホラー大賞受賞作なんですね。「ダークファンタジー大賞」がない状況では、もっとも適切なジャンルかな、という気がします。
文章のトーンが好きです。私こういう、ふわっとした、夢の中の世界みたいな文体というか口調って自分の体質に合います。(現実的でパキパキと切れのいいトーンも好きだけど、そっちは「憧れ」って感じです)
現実の世界の容赦ないスピード感を忘れて、しばし、少し刺激的だけど優しい世界に身をゆだねたい…というのが、そもそもの読書の目的だったりするので。
ダークファンタジーといえば、映画でいえばギレルモ・デル・トロ監督の作品とかね。無垢な人々のすぐそばで怪異の世界が口を開けていて、一度迷い込んでしまうと、必ずしもハッピーエンドとはいえない結末まで振り回される。それでも不思議と、優しく切ない気持ちで終わる。そんな味わいがこの本にもありました。
しかしやっぱり、1冊の本を聴き終わる時間が7時間とか15時間とか(本のタイトルと一緒に表示されています)なので、途中でぷつぷつ切りながら聴くことになって、どこまで聴くかをあらかじめ決めるのは難しい。私はせっかちなので、少しスピードアップして1.2倍くらいで聴きたい(そのくらいなら、語りのムードがそれほど損なわれないと思う)けど、それでも1作を通しで聴く時間はなかなか作れない。この辺は慣れが必要で、自分の読書?聴書?体験を構築していくことになるんだろうなと思います。