森本萌乃「あすは起業日!」1088冊目

これもAudible。紙で読むつもりでリストに入れてたのを、見たらAudibleにあったので聞いてみました。これもAudibleに向いてるコンテンツだと思います。若い女性が書いた半フィクションくらいの小説を、主人公・著者のような若い女性(たぶん)が読むのは、リアルに聞こえて、みずみずしくて、心地よいです。

起業、しようかと考えてみたことは何度もあります。社会人向けのビジネススクールに通ったときは、起業する人やしたい人がたくさんいたし(私に起業しろとけしかける人もちらほら)。でも、私には、会社を作ってまでやりたいことがなかった。私は何をするにも、自分ひとりでやって完結することが多い。楽しいからみんなもやろうよ!という、巻き込む力が弱い。だから、よかろうと悪かろうと、起業する人のまっすぐさに憧れます。

てことで、起業するときにどういう知識やお金が必要だとか、どうやって調達する、ってことは、昔の男の人たちの経験談はいくつも聴いてたけど、若い女性…万が一私が会の頃起業していたら近かったかもしれない…の経験のリアルさは読みごたえがありました。ベンチャーキャピタルの男性が自分を女性として見る、なんて話は、男性の書いた本ではまずないですから。

ところで、ベンチャーの最終目的のひとつに「Exit plan」みたいな言葉があると思うんだけど、スペイン語でexitoって成功のことなんですって。自分の作った会社の株を公開するか、M&Aしてもらって手放すか、というのは「出口」でもあり「成功」でもあるんだろうな。この小説では、未来のExit planまで想像して書かれているけど、実際の著者のサービスはどうなっていくんだろうな。5つ星ホテルに泊まっても泊まらなくても、たぶん素敵な人生なんじゃないかなーと思います。

「本当にやりたいこと」をやるのはとても幸せだけど、だいたいはお金からは遠ざかっていく気がします。私みたいに、若い頃はがまんだけして少しはお金をためて、年を取ってからはギリギリあるいはちょい赤字の収支で、やりたい仕事だけやる、という人生も、そう悪くはないもんですよ。