降田天「少女マクベス」1070冊目

面白かったー!忙しいけど夜更かし+早起きして、一気に読んでしまいました。

事前知識がほとんどなかったので、オカルトっぽいのかな?とか、イヤミス系かしら、とか、ちょっと心配しながら読み始めましたが、ミステリーとしてまっすぐ王道で、かつ、登場人物の性格や姿かたちが本の間から生き生きと立ち上ってきて、とても魅力的でした。

マクベス」は原作を読んだことはないけど、翻案作品は舞台などで何度か見たことがあって、憎しみや強欲、悪、犯罪、などかなりおどろおどろしい作品だと認識しています。この作品の中にも、華やかで美しい少女たちの隠れた闇や愛憎が描かれてるんだけど、それだけに終わらない。彼女たちの繊細さ、少女らしいやわらかさが全体では浮かび上がってきて美しい物語だったな、という印象が残ります。

しかしこの「百花演劇学校」、宝塚のようで宝塚じゃないのは、演者だけじゃなくて制作者も含めて育成する学校だというところですね。それと、年齢制限が厳しいと言う設定なのか、ほぼ高校生の年齢の子ばかりに見える。高校生にしては、みんなあまりにも大人びているけど、目指すものが大きく、早く一人前になろうとしてプロのように振舞っているからかな。

舞台が少女たちの学校でなければ、どんな物語を書くんだろう。「このミステリーがすごい!」大賞受賞は9年も前だけど、それも読まずにはいられません。最近こうやって、今まで読む機会がなかった比較的(たぶん)若い作家さんに次々に出会えるのはすごく幸せなことだなぁ。