絲山秋子「神と黒蟹県」1075冊目

どうしてこの本を読む気になったのか思い出せない…多分、どこかの書評を見て興味を持ったんだと思うけど。

タイトルも不思議というか、意味はわかるのに読みづらく、文中に出て来る地名やものの名前も同様で、それだけでなんだか、やけにのんびりした異世界に飛び込んでしまったようなふわふわとした感覚があります。

黒蟹県の人々はみんな、どこかふてぶてしくて、落ち着いているけど、心の中はちょっとネガティブだ。そこに暮らすことになった神もそんな感じ。なんともいえない可笑しみがあって、ムーミン谷の人々みたいで、ずっと一緒にそこにいてみんなを見続けていたい気がする。1シリーズが終わるとすぐに次が始まって、永遠に終わらない連続ドラマみたいに。

そうなのかなぁ、この著者は人間のムーミン谷を書きたかったのかな。この作品の中に出て来る誰かを中心にして世界を構築しようとしたようには思えない、神すら。

書いたのがどういう人か、気になってしかたありません。

映画化された「やわらかい生活」という作品があるようなので、まずそれを見てみよう。