Audibleで聴きました。これは面白かった!こういうエンタメ要素が多い小説は、Audibleに馴染むのかもしれません。この他には「成瀬」シリーズも夢中になって聴きました。情景描写や感情表現が多い小説だと、文字面と頭の中の光景のあいだにギャップができてしまうのかな。もし、ひたすら抑揚なく淡々と読んでくれたら、その方がいいんじゃないかと想像してしまった。実際聴いてみないとわからないけど。
男子校のバカっぽい(本当はとても偏差値高い)会話が楽しいし、そんな理想のクラスメイトなんているんだ、いいなぁ、山田って一人の時に暗くなったりすることとかない奴なのかな…等々、考えながら読んで、最後の最後に、驚愕かつ納得という矛盾しそうな結末を迎えます。結末の爆発力、すごいです。和久津だいじょうぶなのか。このあと激しく慟哭してから自首?して辞めたりしたのかな。など想像した人、読者の9割は下らないはず。
山田の死後も残るポジティブパワーが救いである一方、いまどきの”常に明るく正しく清潔でいなければならない”無言の圧力に耐えることのつらさも浮かび上がります。
若くてバカ。元気で明るい。の裏には常に闇が隠れてることを、たまには思い出さざるを得ない。ぜんぶひっくるめて、ヒリヒリするような思い出。…を、これを読んで思い出した人も多いだろうな。
とにかく傑作でした。