金子玲介「死んだ石井の大群」1096冊目

これもアイデア勝利ですね~。そして、タイトルにある「死」で読者を惹きつけつつ、その実、生きることが太いテーマとしてあるところも、前作と共通しているのかなと思いました。

始まってからしばらくは、まさに「バトルロワイアル」。私あれ系嫌いで、ああいう”犬死に”を畳みかけられるのってだんだんウツになってきてしまうのですが、この小説の場合、交互に入るテキトーな探偵と失踪した食えてない舞台俳優のエピソードが気楽に読めるので、まんまとだまされてフツーのミステリだと思わされつつ、どんどん読み進んでしまいます。

”死を明確に頭に刻み込まないと、死んだことにできない”には、納得できる部分もあります。若い頃、ひどい裏切りを受けたりして、忘れなければならない人がいるとき、近しく思い出さなくなるまで、その人の名前を紙に書いてキッチンのシンクで燃やしたりしてました。(「呪い」ではないです。私が呪ったくらいで人は不幸になったりしないと思ってるし)お葬式というのも、死を納得するためのお別れの儀式ですしね。

次の作品もさっそく読んでみます。