この人の小説はほんとにいつも面白いな…
”お嬢”と呼ばれる国会議員が死んだ。その周辺でうごめく様々な権謀術数を描く…というより、それを冷めた目で見る女たちによる政治小説、って感じでした。
パワフルで満身創痍(この2つは両立しうる、というか両立せざるを得ない)な政治をめぐる女たち。亡くなった与党の国会議員の好敵手と目されていた、”女を売り物にしない”野党の女性議員とその聡明な秘書。スクープや知名度に興味のない新聞記者。亡くなった議員の地元の与党市会議員。第一章「国会」、第二章「政治記者」、第三章「地方議員」、第四章「選挙」と主役をすげかえて描くことで、全体が見えてきます。
まぁ、冒頭からほのめかされている謎は、その人物の登場のときの説明ですぐわかったけど…途中のブラフにもだまされなかったけど…でもとても面白かった。このまま進んで最後はどうやって落とすんだろう、と楽しみに読み進みました。だって、国会をこんなふうに描くアイデアと勇気がすごいです。今までになかった小説です。
私の母校である女子大学は何人か国会議員を輩出していて、ホームカミングデイの周年イベントとして「国会xx会」パネルディスカッションが行われたことがありました。ご存命の議員経験者の数が少ないので、今はもう開催できない貴重なイベントだったんじゃないかな。誰々の部屋にぬいぐるみがあっただの、やたらと可愛いエピソードを話していて、まだ血の熱い若者だった私はちょっと拍子抜けした部分もあったけど、すぐに、それでいいんだと思い直しました。こんな私でも可愛いものは好きだ。国会議員になったからといって、キャラクターを変える必要もない。外部の人は入れない同窓会だけのイベントだったのでオフレコの話題もあったけど、時間が短かった。シリーズで5回くらいはあのトークで酒が飲めた。と今は思います。
まだ読んでない本もあるけど、引き続き、まだ誰も書いてないジャンルの小説をどんどん書いて、言いづらいことを言い続けてほしいです。