小田川綾音「ルーベンです。私はどこで生きればよいのでしょうか?」1102冊目

アルメニア人の迫害の話は、ネットニュースかなにかで見たことがあったけど、それがどれほどのものか、明確な認識はありませんでした。いじめる人がいる、ということだけではなくて、本来の給与が一部、あるいはまったく与えられないとか、暴力をふるわれるというのは国外へ避難するのに十分な理由になると思います。

ルーベンさんのバイタリティや努力はただもうすごいと思うし、迫害される人たちってどうしてこう、ここまで繰り返し繰り返し、どんな人であっても力を失くすほど、あらゆる場所で、続けられてしまうんだろう、と思います。人間はそもそも、誰かを攻撃したい生物なのだとしか思えなくなってきます。攻撃される側はたいがいもっとも弱い人たちで、決して「悪い人たち」ではない。

連想してしまうのが適切かどうかもわからないけど、冤罪でもと死刑囚となっていた袴田さんのことを思い出してしまいます。希望を持ち続けて数十年、がんばれるだけがんばったのに執行が近づいてきて、心までさいなまれていく。

あの事件の報道を見ながら、尊敬すべき彼のお姉様が、あれほど活動を熱心に続けなければ、彼が一人っ子だったら、彼女がそれほど活動できない別の事情があったらどうなっていたんだろうと考えました。つまり、一人ぼっちだった同様の人たちは、誰にも理解されずにそのまま命を落としていったということなんじゃないか。恐ろしい想像です。

私たちにできることは、第一にまず、いかなる形でも誰かをいじめないこと。身近な人から手助けをすること。さらに、もっと遠くにいる人も助けられたらいいけど、誰の身近なところにもさいなまれている人は必ずいるから、他の大陸の人たちを気遣う前に半径10メートルから始めて、みんなが同じようにすれば、あたたかい世界が広がっていくんじゃないか…。きれいな夢に過ぎないのかもしれないけど。

まず、ルーベンさんに私ができることを、考えてみますね。