すごく魅力的な小説です。とても面白い。外国の小説のようでもないけど、見慣れた日本語の小説と感触が違います。この感じを「無国籍」と書くことが今はなんか安易で雑に思えますが。
前半はエンタメ的に面白く読み進んだけど、モモが出てきてからは、少年犯罪小説となって、テラスハウス的な世界よりもさらに自分から遠くなっていきます。
これを読んでいるときの気持ちは、「蛇にピアス」を読んでたときと似てます。それほど”いい子”でもなかった自分が何一つ知らなかった、道を一本入ったところに、肉体を傷つけたがる人たちがいるという怖さ。刃物を自分の肌に当てられて、鉄くさい血がしみだしてきそうな。
という感じで、私には前半と後半が別の小説のように見えてしまうんです。つながりがあることはわかるけど、短篇集の2編を読んでるような。で、正体がぜんぜんつかめないまま終わってしまった。何だったんだろう。
このあとこの作家がどういうものを書き続けていくのか、とても気になります。(ふしぎと、すでに書いたものより今後のが読みたい)