よくいく書店のいちばんマニアックな選書コーナーにあって、好奇心を抑えきれずに購入。この1月にヨーロッパに旅行した際に、マドリードから南下して船でアフリカ大陸に渡ることも考えて(結局やめた)、モロッコ北部にスペインの飛び地があることに気づいていました。それに、ヨーロッパのリゾート地となっているアフリカ大陸北東のスペイン領カナリア諸島に興味があって、ばくぜんとそこに短期滞在しようかと思っていて(ふつう思わないかもしれないけど)、アフリカとスペインの人々の営みとか文化の融合とかを知りたいと思ってるので、その関連で。
この本はすごく真面目にフィールドワークをして書かれた研究論文のような本で、だけど著者が終章で書いているように、そこに住み続けてくまなく調査できたわけではないので、短い時間の体験の中からわかったことや感じたことを書いた「ノンフィクション」として構成されています。
セウタは小さな飛び地だけどスペインなので、スペインをはじめとしたヨーロッパの物資がどんどん入ってくる。それを、関税を払わずにどんどん輸入してモロッコで売りさばく地元の人たちがいる。手が付けられないほど大人数の人たちが、ひたすら荷物を背負い、服の下にこっそり着込んで、国境を日に何度も超える。スペインとしてはそれを取り締まって得るものはない。モロッコとしては、暴力や賄賂が横行してるし、そもそも密輸だし、なんとかしなきゃと思ってるけど、貧困層の特に女性が多いこの仕事を取り締まってしまうと彼女らが路頭に迷う、というジレンマもある。…このジレンマがずっと続くのかと思ったら、コロナで国境閉鎖した際に一掃されたらしいです。もしかしたらもっと小規模、個人レベルでは続いてるかもしれないけど。
これ書いたのが若い女性で、危険があるとはいえこれだけの調査をやれる程度には平和な場所だったはずなので、セウタは「怖くて行けない場所」ではなさそうです。(つい、フライトの値段とか調べている)じゃあ私が目指そうとしているカナリア諸島はどうなんだろう。全土がスペインで陸の国境がないのでだいぶ違うだろうな。セウタは難民が国境のフェンスを越えてくる場所でもあるらしいけど、アフリカのどこかから島に飛行機で行くのは、ヨーロッパの他の都市に飛ぶのと変わらない。
モロッコの人に船で渡ってみたいと話したら、着いたところは何もないから飛行機でカサブランカへ行けと真っ当なアドバイスをもらいました。だよな…。でもやっぱり興味はつきないので、情報があったら調べてみようと思います。