有栖川有栖「真夜中の探偵」1125冊目

どうも3冊シリーズの2冊目らしい。舞台はディストピアと化した日本。北海道が分離独立したり、反米感情の高まりで英語由来の言葉が漢語に言い換えられたりしてる。主人公は、禁じられた職業となった私立探偵の父・母をもつ空閑純という名の少女。父は警察で取り調べを受けていて母は行方不明。母の足跡を探して危険な冒険へ向かう。

この少女が、下手なOLふうの変装をしたり、まんまと尾行されたり、この本ではまだ素人のままなんだけど、なかなかの豪気で、大人たちからからかわれたり突っ込まれたりしつつ、これから成長していくのが期待できそう。

本格ミステリ”っていうと、ルールに厳格だったり、若干気取った感じがあったりするけど読みごたえも抜群、っていうイメージで、有栖川有栖って作家はその究極みたいなイメージがあったけど、これはジュブナイル用でいける。甘くないのに親しみやすく、中二少女的な夢想のロマンもあるし。そもそも、タイトル「真夜中の探偵」が素敵すぎるし、本の装丁も美麗なんですよ。カラフルな金魚や魚たちが黒い背景の上に泳ぎ、単行本の場合、小口っていうんですかね、紙の裁ち落としの部分に美しいブルーのインクがたらしてあって。手元に置いておきたくなりますね。

前日譚にも興味あるけど、それより続きが読みたいので「闇の喇叭」に行こうと思います。