マーガレット・アトウッド「侍女の物語」~「誓願」1138-1139冊目

先に「100分de名著」でこの2冊を取り上げたのをじっくり見てたので、おおかた読んだような気になってたけど、聞くのと読むのとじゃ全然違いますね。両方長い小説ですが、著者の作家としてのイマジネーションが爆発してる「世界観」の設定、細部にいたるまで書き込まれた人物の言動、またそれぞれの関係性など、映像を見るようにくっきりと浮かび上がってきます。あらすじと一部の引用だけを取り上げる「100分」ではすくいきれない細部の味わいが、濃いんですよ。一行一行が。いやーほんとにすげー作家だ。

リディア小母という人が、2冊の両方で全体を(というか、この小説の世界を)統括してるのですが、強くてぶれないこの人は、残酷な部分もあり、愛や思いやりより意志や彼女としての正義が常に勝ちます。この本で唯一わからなかった部分が、彼女を突き動かすのは何なのかってところかな。あまり細かく書くとネタバレになってしまうけど、動機から物語を生むアガサ・クリスティとは違う、著者独特のディストピアの”箱庭”に人物を配置することから生まれる異世界がすごく面白かったです。

2人の逃避行の部分とか、十分スリリングだけど、この部分で1~2冊書いてしまう作家も多いと思うんですよね。でもアクションシーンばかりだと表現とか技巧の競い合いみたいになってしまう。この小説はそういうのがごく短くてもいい。

やっぱり、「100分de名著」は見て読んだ気になる、より、見たことで本を読んでみる、という視聴のしかたが一番だなぁと思います。