ああ辛い。最初から最後まで、マスコミ、というか、商業的な利益のため一般大衆を扇動しようとする大企業に体の芯まで他人の目に見える部分を取り繕うことに浸食された若者たちの状況を描写し、はかなむ短篇集だ。
快適なタワーマンション、素敵なブランドの服やバッグ、雑誌に載ってるレストラン、有名な大企業、ああなんてステレオタイプなお仕着せ。こういうの苦手なんですよ。しかしこんな筋金入りのマイペースな私のことを、以前勤めていた企業や海外旅行の習慣やたまに行く高級レストランだけを見て、薄っぺらいコマーシャル野郎と陰口を叩いて仲間外れにする人たちがいるのがもっと腹が立つ。ノーメイクでユニクロしか着てなかったり、旅行先がアジアの子どもたちの宿でシャワーもないから川で水浴びとかしていても、憎んだりうらやんだりする相手が欲しくて仕方ない人たちが、自分と違う人の中に憎むべき要素を見つけて飛び上がって喜ぶ。さげすんだりうらやんだり。人と違うことをやると、良かれ悪かれ必ず憎まれるから、とにかく目立たないようにしよう、と気づいたのはもう50歳過ぎてからなので遅すぎました。
とにかくこの本に出てくる人ひとりとして、誰とも友達になれそうにありません。だいいち、人をうらやむ気持ちや憎む気持ちは、誰にでも多少はあるけど、よくないものとしてうまくコントロールするのが大人なのに、それを増幅してぶつけ合うのが正直みたいな世の中がすごくイヤだ。愛がなさすぎだよ。愛が…。
