この作家の作品は2冊読んでて、これが3冊目。「N」はミステリーでありながら、”どこから読んでもいい小説”という体裁に作り上げてあって、きっとこの人は、そういう仕組みを考えて読者をハッとさせたりするのが好きな、サービス精神のある作家さんなんだろうなと思います。
この短篇集もまた、全部を読んだあと何かが見えてくる作品です。たぶん、しっかり読まないと見落としも多そうだけど。
舞台は”蝦蟇倉市(鎌倉?)”にある、海に面した町で、小さい岬の突端にある”弓投げの崖”が自殺の名所となっています。たくさん人が死ぬタイプの群集劇ミステリーで、ミステリアスな部分は、登場する多数の人たちのうち、誰と誰がどうつながっているか、隠された怨恨や利害はあるのか、といった部分です。あちこちに散りばめられたヒントと合わせて、そういった人間関係を見落とさずに推理することが大事。
といっても、私は細かいヒントをだいたい見落としながら流れでミステリーを読んでしまうことが最近は多くて、種明かしのときに初めて「おお!」とか「まあ!」とか喜んでるだけなのですが。
ごく狭い町のなかで、子どもや主婦、先生や警察も含めて、怪しくなさそうな人たちが意外な面を見せるのが面白かったです。
さっそく「いけない2」も読みます。
