これもどこかで勧めていた本。主人公たちは小学6年生だけど、無邪気なだけじゃなく大人になり始めていて、中高生、大学生や大人でも十分に楽しめるジュブナイル小説だと思います。
3人の少年たちが「死体を見てみたい」という気持ちで、もうすぐ死ぬんじゃないかと噂されている独居老人の家を覗いているうちに仲良くなり、人生のさまざまなことを学んでいくというストーリーです。こう書くとなんか「スタンド・バイ・ミー」を思い出しますね。(スティーヴン・キングによる原作の原題は「The Body」、これも死体を見に行く話)
ストーリーがそもそも、”常識的な大人”ならチュウチョしそうなテーマだし、小学生男子たちのオバカで無茶苦茶な言動がなんともいえずリアルで、大人の女性が書いた作品だなんて信じられないほどです。語り口がまた、文章の上手な高校生あたりが書いたみたいに、たまらなく素直で、上手に見せようとかかっこいい表現を作ろうとか、読者を驚かせてやろうみたいな腹がまったく感じられません。そういう意図に敏感な子どもでも、何も疑わずに真剣に読みそうな。
この3人、ちゃんといろいろ考えているとはいえ、年齢相応にオバカで、失礼なことやタブーといえそうなことを次々やらかします。むしろ、そういうことしかやらない。そして、それに対する大人たちの叱責、説教、それに続く自分語りなどを受けて、傷つき、反省し、あるいは反発し、悩み、悪夢にさいなまれ、そうやっていくうちに生きる上で必要な知恵をすこーしずつ身に着け、自分なりのものごとの「ものさし」を徐々に育てていきます。この1冊の本のなかに、小さいけど完全な人生のひとかけらがちゃんと収まっているのです。
文章にクセがなく平易で読みやすいのは、語彙や表現も子ども向けに考えて書かれているのでしょうね。とはいえ戦争や老い、当然ながら死、大人たちの離婚や病気、別れなど、重い要素に目を逸らさずまっすぐ見据えていて、心に残る一冊となっていると思います。老若男女どんな人にもお勧めできる本です。
