だいぶ前に映画を見て、なんかいやな世界だなぁと思って、原作は読まずにいました。最近「あの本読みました?」に出ている著者本人があまりにも好感度高いので、改めてこの有名な作品を原作で、と思い、Audibleで聴いてみました。
会話が自然でおもしろく、どんどん聞いちゃうじゃないですか。(Audibleは、かなり面白い作品でも寝てしまうことが多いのに)この作品も寝入りばなに聞き始めたのですが、聞き入っちゃって夜更かし・寝坊してしまいました。
映画を見たときに感じたような、「なんかいやなやつばかりだなぁ」という感じはなく、誰にでもある感覚をそのまま表現してるんだなと思って聞けたのは、なんでだろう。だから結末にちょっと動揺もした。これって、本を読みながらちょっとえらそうに上から目線で批評してる読者全員、こうやって本の感想を匿名で書いてる私自身、映画を見てとやかく言っている観客全員、にもそのまま打ち返してくるような感覚でもあります。(それで書くのをためらうほど若くはないですよ、映画と本合わせてもう何千本も書いてますから)
人の動向をうかがいながらなんとか自分も勝ち抜こうとモンモンとしている大学生が主人公なので、サワヤカではないんだけど、今は、こんな若い普通の子たちが社会に出るのにあたってこんなにドロドロしなければならないのは、新卒就職の仕組みが間違ってると思うし、彼らより上の世代全体の責任だなと、彼らが気の毒な気がしています。
だって、バブルのときは大学生も大勢いたので、人気企業にはすごい数の学生が集まってきただろうけど、今は大学生自体が少ない一方、企業側の需要はすごく高いのに、どうして「最初の面接で決まる」状況になってないんだ。学生も企業も、情報過多で、もっといい仕事があるんじゃないか、もっといい子が来るんじゃないかと、夢を見るようになってしまったのかな。マスコミが悪いと決めつけるのはかんたんだけど、マスコミほど世相をそのまま映すものもないので、欲張りな世の中が悪いとも言い換えられる。
この小説って、かなりリアリティあるんじゃないかな。
私は会社員をやめて若い人や学生の多い場所に行くようになるまでは、自分の世代のこと以外、ほんとに知らなかった。バブルの頃の私たちが無知で勢いばかりだったのと違って、謙虚で思いやりのある人も多いなとよく思うんだけど、それが競争をあおる社会にすでにもまれた結果だとしたらかわいそうだし申し訳ないです。
一人の人が演じてるのに、誰が話してるかちゃんとわかってすごい。
