どこかで紹介されていた本。知らずに読んだんだけど、この方、私の愛読しているニコルソン・ベイカーの翻訳者なのか。確かに彼と似通ったものの見方をしてる気がする。でも私が1992年に最初に読んだ「VOX」は原書で、自分としては語学力不足や幼さもあったと思うけど、可笑しいというより、ちょっといやらしい禁断の書を読んでしまった気分でした。この時期ちょっとロンドンにいて、ブッククラブという本の通販に申し込んだらこれが送られてきたような。最後まで読んだだけでもよくがんばった。その後たまにニコルソン・ベイカーのことを思い出して翻訳をちょくちょく読んでいて、「中二階」は本の感想を書き始める前に読み、その後「フェルマータ」も「U&I」も「ノリーのおわらない物語」も岸本さんの翻訳で読んでました。違和感がまったくなく、やわらかい翻訳だった記憶があります。「U&I」のあとに元ネタのジョン・アップダイク「アップダイクと私」も読んだし、その元ネタのホルヘ・ルイス・ボルヘス「ボルヘスと私」も読んだ。この本、「気になる部分」に登場する作家は私も好きな人が多いし、岸本さんは確かに変わったおもしろい人だと思うけど、私は真顔で読んでしまった。多分ここも、ここも、笑うところなんだろうな、と何度も思いつつ。笑わないのは、可笑しいというより「なるほど」と思ってしまうからかな。あるいは、内容はすごく興味深いけど、岸本さんがものすごく読者を意識して緊張して書いてるのが伝わってくるからか。勝手な想像でしかないけど。
ニコルソン・ベイカー元気なのかな。その後また新しい本書いたかな。ロンドンのブッククラブって、まだ存在するんだろうか。。。
