ふしぎな感触の探偵小説だけど、謎は解かないのでミステリーではない、かな。ふしぎでありつつ、そこここにネタバレもあって、同時代を生きてきたとても近い人の創作物という気がして快いです。
坂の多い町は、長崎かしらと思ってたけど、香港のような気もします。仮名が日本の名前になっていることは、あえてのミスリーディングかも。
「雨に歌えば」はツインピークス由来で舞台はシアトルで、ツインピークスの滝の本名「スノコルミーの滝」を社名にしたのは地元のマイクロソフトとアマゾンを足したような会社だ。登場人物もローラ(パーマー)とかドナとかオードリーだし「双子山」はツインピークスそのものだ。そもそも、時系列がねじれてるのもツインピークス的。未来の出来事を過去形で語る書き出しは、テッド・チャンの「あなたの人生の物語」。
「探す人たちは探し物を見つける」はダブリンで「空の上の宇宙」はアラブ首長国連邦、ドバイかな。私もドバイではフムスばかり食べてたのを、読んでて思い出しました。
誰かの真似をしてる、という感じはしなくて、たとえていうと、それらを読み見聞きしてきた私自身が頭の中で想像していた自由な物語を書いてくれた、みたいな感じ。この人がほかにどういうものを書いてるのか、気になります。また読まなきゃ。
