「銀の匙」(中勘助)みたいな小説だなぁ。ということはおそらく、「失われた時を求めて」(プルースト。読んでないです、すみません)とか「私だけの部屋」(ヴァージニア・ウルフ)とかを思い出す人もいるんだろうか。
すごくすごく丁寧な文章なので、この家に思い入れてしまって、最後どうなるか考えて胸が痛くなった人もたくさんいるだろうな。「老朽化」とか「安全性」とか、理由をくどくど語ることもなく、運命を受け入れる家。
書いている人があまりに家の構造に詳しいので、家が他の人の筆を借りて語っているような気さえしてきます。人が作ったものなのに、人より人間らしいほどです。そして、この小説ひとつが独立して完成した何かのようで、この筆者が他にも小説を書いたとか、これから書くということも想像しにくい。
ちょっと他にない”家小説”としてパーフェクトなものだ、という印象である意味圧倒されました。素晴らしい作品だと思います。
