川原繁人「フリースタイル言語学」1197冊目

すごく面白かったし、読み終わってなんだか満ち足りた気持ちになりました。いい本だ!

言語学は、数十年前に英文学科に入った私が4年間つまづき続けた学問で、あの4年間に学んだことは何一つ思い出せない、というより、4年間ちんぷんかんぷんなままだったという苦い記憶しかありません。

でもその後IT企業に入ったとき、当時は生成AIなんてないので”機械翻訳”の関係で、言語学をやっておけばよかったと思い(情報処理の専門家でなく英文科卒でも、言語学経験者には研究職の枠があった)、今は日本語教師としてやっていくうえで、なんでせっかくの言語学のチャンスを逃したんだろうと残念な気持ちです。

なぜそうなったかというと、川原先生や彼の師のみなさんのような先生に出会えなかった、というのも一因かもしれません。(というふうに人のせいにしたいくらい忸怩たる思い)

最先端だったり非常に高度だったりする学問って、専門用語をたくさん使って難しそうに語ることが大事なんじゃないですよね。この本がこんなに面白くてもわかりやすくても、著者の研究の専門性はきわめて高いのです。

この本を読んだきっかけは「スイッチXインタビュー」で上白石萌音が選んだのがこの著者で、対談があまりにも面白かったからです。いい本との出会いって本当に幸せ。

面白い本として読んだものを、自分の生活や仕事に生かさなくても構わないと思うけど、仕事に生かすとすれば、大人の生活者の方々に日本語を教える際に噴出する質問に対する答えの参考になりそうです。「いっぽん、にほん、さんぼん ってなぜ全部「ほん」じゃなくてそれぞれ違うの?」…日本語学校の生徒には時間とボリュームの都合で「いいから覚えてください」と言ってしまうかもしれないけど、1:1でじっくり教えている大人のみなさんの質問には答えないわけにはいきません。たぶんこの質問の答えはちゃんとこの本に出てました。もう一度読み返して、メモくらいは取っておかなければ…。