ぴりっとくる短篇を集めた作品集。連作というより、1つ1つが全く独立していて、それぞれを膨らませて長編が書けそうな新鮮な内容です。
特にこの表題作。本物の父と育ての父。(「回数」が何を意味するかは最後までわからなかったんだけど、何の回数だったんだろう)この作品すごく痛くて心に残ります。女性二人が登場する「おねえちゃんの儀」などは、他の作品にもそういうシチュエーションがあったなと思うけど、この短編集は家族、男女、バディというほどでもないあまり話したことない同性の同僚、とシチュエーションにバリエーションがあります。バイオレンスもなく敵対関係もほぼなく、日常的で普遍的な人間を描きあげています。何を書いてもうまいなぁ。不安や戸惑いもあるけど、弱いだけじゃない人間が浮かび上がってきて、じわじわと共感がわいてきます。自分と同じ、あるいは、自分とは違う、仲良くはならないかもしれないけど、思い出すときにちょっと心がきゅっとする昔のクラスメイトみたいな感じ。
「ババヤガ」みたいな爆発力のある作品もまた読んでみたいな。次はどういうものを書くんだろうな…。
