朝井リョウ「イン・ザ・メガチャーチ」1241冊目

読み終えて、いや、これもAudibleなので、聞き終えてまず思ったのは、朝井リョウ、結末のまとめ方が純文学っぽくてうまいなぁ。それから、とにかく饒舌。よくテレビにも出演する作家さんで、テレビ出演時もよく語る人だし(先日NHK「わたしの日々が、言葉になるまで」で劇団ひとりに「うるせぇですよ」って突っ込まれてたw)、今までの他の本でも語り手はひたすら独白を延々と続けますが、この本でも3人の話者が交代で語る、語る、語る、語る。それでも読んでいてそれほど疲れない。それに、読み込んでいくほどに語り手に読者が同化していく、という感覚がある。これこそメガチャーチの信者マーケティングか、物語に引き込んでいく手法のもともとの意義そのものですね。

メガチャーチに例えられた”ファンダム”を最初は傍目に見ていた作りて、ファン候補、推しに死なれてしまったファン。ファンダムを作り上げていく関係者たち、彼らによって構築されていくファンダム。エネルギーを注ぎ足りない人たちの孤独。饒舌な文章に引きずり込まれて、語りてたちがみんな自分自身に思えてくる。

そもそも、こんな分厚い本を読む人には、読書で埋めなければならない大きな隙間が空いてるんだろうから、そこに付け入るのは簡単なのかもな。付け入る隙のない人になりたい。忙しく充実していて、家に帰ったら寝るだけで、かつ、体を壊したりしない丈夫な人。…などみんな思うんだろうな。

朝井リョウって人はさまざまな世の中の動きの中からテーマをピックアップして組み合わせる才覚がずば抜けてるんだけど、ストーリーを構築する力、文章としての完成度、などいろいろすごい人だな。まだ若いし、さらに書き続けていくあいだに、さらに凄みのあるものを読ませてくれそうな気もします。リスペクトと期待を込めて。