三鷹光器① 中村義一「お金は宇宙から降ってくる」23

学校の社会見学?で、地元が誇る優良企業「三鷹光器」に行くことになりました。予習のために情報を検索したところ、会長の著書が見つかったので、行く人みんなで読みました。

感想:超おもしろい!!会長カッコいいです。

p22「机の上でキリキリと計算し、『うちの計算は完璧なので、カメラが爆発するということはありえません』というのがいまの人たちの考え方。けれども万が一、計算が間違っていたらどうするんだろうか。『自分たちはいつも正しいんだ』という考え方で止まっているから、最後に取り返しのつかない事故が起こるのかもしれない。」・・・耳が痛いですね。

P24 歯車は、精密に作るだけじゃなくて、うちは100枚の歯に対して98枚を噛ませて、回るたびに違う歯が当たるようにするから、どこかだけ減るということがなく、使えば使うほどよくなじむ。・・・という。先のことまで考えられる人です。

P68~「便利なものでなく、必要なものをつくる」のがポリシーだって。

人は要らないものは買わないけど、楽しいもの、便利なもの、必要なものは買う。楽しいものってのはぜいたく品とか嗜好品、賭け事、そういうもの。便利なものは、お金がなければ買わないかもしれないけど、必要なものは買う。この会社が「必要」と考えるのは、医師の手元が狂いにくくなる顕微鏡とか、砂漠に掘った深すぎる井戸から水をくみ上げるポンプに必要な電源を供給する太陽電池とか。望遠鏡づくりから始まった会社なので、太陽の温度上昇が今年ピークでこれから地球は冷えていくとか、化石燃料の将来のこととか、考えることのスケールが大きい。地球の未来や人の生死に関わるものに、強い危機感を持ってるし、力を入れていこうとしてます。

P73 顕微鏡を作るスタッフには、実際に自分の顕微鏡が納入された医療現場に行かせて、特別に手術あるいは解剖を見学させてもらう。自分が失敗すると人が死ぬという覚悟をもって作らせるんですって。

P92 発注元も販売先も、彼らの競合にばれると困るので、すべて守秘契約を結んで秘密にしてるけど、日亜科学の青色LEDの裁判では、裁判資料の中で三鷹光器の三次元測定器が使われたことが明らかになったんだそうだ。

P95 望遠鏡をひっくり返すと顕微鏡になる。はるか遠くの新星を見つけるための精密な望遠鏡が作れれば、1ナノを測れる非接触の3次元測定器を作るのはそう難しくないんだそうだ。社長は携帯を持ってないけど、携帯がこんなに小さくできたのは自分の会社の貢献だと胸をはってる。

P99 「子どものころにいたずらをした人のほうが、何もしないで育ったひとより器用なはず」。私の隣のチームで「子どものものづくりマインドを育てるプロジェクト」をやってる人たちに、「子どもがおもちゃを分解して組み立てなおすのをやらせてみたら?」と言ってみたんだけど、だめかしら。

P178 日本の企業と組みたいけど、日本の企業は無茶ばかりいうので、ドイツやスイスと組んでる。ライカは「全部よこせ」と言わずに「一緒にやりましょう」と言ってくる。ライカに手術用顕微鏡を納入してヨーロッパでは「Leica Mitaka」ブランドで売ってるのだそうだ。ドイツのマイスター制度、職人の地位を日本にも採り入れたいという。

P198 2003年から「グリーンフューエル製造技術開発プロジェクト」で、太陽エネルギーで、石炭と天然ガスからメタノールをつくる開発を行っている。太陽の向きを感知して集光器の向きを合わせるので、太陽エネルギーが最大限に集められるらしい。石油は残りわずかだけど、石炭はまだたくさんあるんですって。残り少ない石油を、自動車を走らせるために使ったりするべきじゃない、といいます。合宿に車で行くのやめようかなぁ・・・。

・・・等々、2,3時間で読めるし、面白いのでオススメです。日本にこんなに骨のある経営者がいるんだ、と心強い気持ちがしますよ。

ものづくりっていいなぁと、心底思ったのは初めてかも。私こういう工夫が好きだわ。大企業的な作り方って、いいけど惚れるところまではいきません。MOTに入ってよかったなぁ・・・と、こういうときに実感しますね。

(つづく)