ブレイディみかこ「オンガクハ セイジデアル」1038冊目

この人の本は、新刊を見つけるたびに読んでます。モリッシーについて書いた本を読んだときは、彼の政治や社会に対する姿勢を自分はなんにも知らなかったことを思い知りました。この本にも何度か彼は出てくるんだけど、こうやって横断的に書かれたものを読み続けていると、やっと「なるほど」と腹におちる部分が多くなってくる気がします。ジョン・ライドンがそれほどクレバーなアイデアを持った力のあるアーティストだなんて、当時はまったく全然考えたこともなかった。でも、当時のふわふわした自分にも育ってきた背景があり、その後の数十年で少しは世界を見るようになったことを考えれば、どんなポップ(あるいはパンク)アイコンにも、実体験に基づく深い洞察や強い意見があって当たり前だし、人を圧倒する存在感を持っていたから一世を風靡したわけです。

それに、この人が書いた小説では、自分に自信のない女性たちが立ち上がって活動を始めることを促しているように感じたんだけど、そういうものを書きたかったこの人の背景が少し、この本を読んでいるとまたわかってくるようです。

海外に行くと日本人は強くなるのかな、とくに女性は。全部の外国ではないけど、叩かれても強くいつづけようとする女性のお手本が身近にある国なら。