三島由紀夫「美しい星」651冊目

珍しくSFめいた作品。星新一の本の題名にありそうな。 しかし登場人物は、何かの強迫観念的イデオロギーを抱いてしまった潔癖症の人々という意味では、三島由紀夫のあらゆる小説と共通しています。 自分の本質が金星や木星から来た宇宙人で、地球人の身体を…

能町みね子「そのへんをどのように受け止めてらっしゃるか」650冊目

いつもTwitterを面白く見ているし、テレビで見るときも感覚鋭く的確で「この人いいなぁ」と思ってたのですが、文章だとさらに歯に衣着せぬ発言で埋め尽くされていますね!ちょっと引いてしまうし、直接会ったら切り刻まれてしまって私など灰も残らないんじゃ…

三島由紀夫「天人五衰(豊饒の海4)」649冊目

<ネタバレあり> 私が望んだ結末は、良しあしとか価値評価はさておき、輪廻転生が終わったのかどうかは明確にしたかった。ジン・ジャンに双子の姉妹がいたなんて一言も誰も言ってなかったんだから、慶子が再会したのが輪廻を終えた後生き延びた彼女自身だっ…

三島由紀夫「暁の寺(豊饒の海3)」648冊目

4部作のうち一番長い「奔馬」を克服した後は、だいぶ気が楽。「奔馬」は長さだけでなく神風的な”純粋”、”正義”の重厚さで読んでる者がエネルギーを吸い取られるんじゃないかという迫力があったけど、タイやインドを漫遊する「暁の寺」は少しは楽に読めます。…

三島由紀夫「奔馬(豊饒の海2)」647冊目

すごいなぁ、すごすぎる。「豊饒の海」1もすごかったけど、こっちも大変な大名作だった(語彙まずしいなぁ私)。命がけの天才ってこれほどのものなのか。壮大な構想、四部作の少なくとも前半2作の設定の時代性と普遍性、緻密に設定された人物像たち、微に入…

松崎智海「だれでもわかるゆる仏教入門」646冊目

なにかのきっかけでTwitterをフォローするようになった、ユーモアセンスあふれるお坊さんの書かれた本。うちも浄土真宗だからか、親しみが持てて面白く読めました。 仏教って身近なようで良く知らない。大昔に日本史で、親鸞が浄土真宗で空海が真言宗で、み…

三島由紀夫「春の雪(豊饒の海1)」645冊目

「アンナ・カレーニナ」みたいなお、人間の深い業のお話だった。虚飾と愛欲といろんなドロドロなものが渦巻いてるいやな世界。でも、ああ、そうか、歴史小説を読むのも嫌いだし、周囲の人たちのゴシップを言うのも聞くのも私は昔から嫌いで、そのために同性…

チャールズ・ブコウスキー「死をポケットに入れて」644冊目

ブコウスキーのドキュメンタリー映画をたまたま流れで見たら、酔っぱらいで競馬好きだけど、どうもこの人は好きかもしれないと思ったので、作品を読んでみました。詩人で小説家でもあるけど、これは日記というか日々のエッセイです。 やっぱりなんか好きだわ…

三島由紀夫「午後の曳航」643冊目

Eテレでやってた「今夜はトコトン“三島由紀夫”」で、出演者が推した作品を何冊か読もうと思ってます。一時期、彼の”通俗小説”を何冊か読んだことがあったけど、これは初めて。主人公は13歳、まだ子どもに見える、変声期も迎えていない男の子だけど、三島由紀…

恩田陸「祝祭と予感」642冊目

「蜜蜂と遠雷」を読んだのが3年前、映画を見たのが2年前なので、だいぶ時間が経っちゃいました。発売後すぐ図書館に予約を入れて、やっと昨日届いたというわけです。私のあとさらに136人がお待ちかねなので、一晩で読んでしまいました。今日さっそく返そうと…

ラビンドラナート・タゴール「ギタンジャリ」641冊目

「あるヨギの自伝」に出てきた、宗教家・詩人でノーベル文学賞の受賞者、タゴールの作品。詩人で宗教家ってどういうことだろうと思ったら、この本はすべて彼の神への思いをつづった愛の詩集でした。 人間ってたいがい、救われたい、愛されたい、と強く思う一…

崔実「pray human」640冊目

前に「ジニのパズル」を読んでとてつもなく切ない気持ちになったなぁ。これは彼女の次の作品であり最新作。読んでてすごく辛くなるんじゃないかなと思いながら読み始めて、最初のほうはけっこうチクチクしてたんだけど、まず、すごく面白かったと言いたい。…

パラマハンサ・ヨガナンダ「あるヨギの自叙伝」639冊目

ある人からこれの原著(英語版)をいただいたんだけど、インド哲学の用語が難しくて、和訳を借りてきてしまいました。 この本はヨガナンダさんの生まれ育ち、ヨギとしての修行の記録なんだけど、生まれてからずっと、わりと頻繁に、奇跡に出会います。コレラ…

萩尾望都「ポーの一族 春の夢/ユニコーン/秘密の花園1」636~638冊目

2016年に執筆が再開し、現在も掲載中らしい。すでに出版されている単行本は再開後のシリーズ1が「春の夢」、2が「ユニコーン」そして3「秘密の花園」はまだ未完。いずれもエドガーとアランの物語です。ブランクを感じさせない、みずみずしい(やけにろう…

萩尾望都「ポーの一族1~3」633~635冊目

「100分de萩尾望都」を見て図書館に予約を入れたんだけど、数十人の列ができていたのですぐに借りられるTSUTAYAで借りました。1冊110円。 大長編ではなく、数回の連載と何度も繰り返してるんですね。エドガーとメリーベルとポーツネル夫妻の”家族”、アランと…

エリック・A・ポズナー/E・グレン・ワイル「ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀」632冊目

たしかNHKの「欲望の資本主義」に著者が出て、すぐさま予約を入れたんだと思う。社会に関する本の最近の流行はまるで社会主義みたいな「シェア」かと思っていたら、この本は「脱・私有財産」を掲げつつ、ラディカル・マーケットでは何でもオークションで価格…

ケン・リュウ編「月の光 現代中国SFアンソロジー」631冊目

待ちに待ったアンソロジー第2巻、やっと図書館の予約の順番が回ってきました。 小型だけど510ページもあるし、歴史ものやとてつもなく非現実的な宇宙ものもあるので、なかなか読み進みません。だから、予約の順番が近くなってもなかなか回ってこなかったんだ…

早川書房編集部・編「早川書房創立70周年記念コミックアンソロジー★SF編/ミステリ編」630~631冊目

早川書房が創立70周年を記念して、過去の「SFマガジン」と「ミステリマガジン」に掲載された、古今東西の偉大なるまんが家の短編と、このために書き下ろしたものをまとめた作品集。手塚治虫に松本零士に石森章太郎に萩尾望都、吾妻ひでおにとりみき…もう、す…

森博嗣「トーマの心臓」629冊目

先に萩尾望都のまんがを読んで、こっちも読んでみることにしました。森博嗣がノベライズ?したもの。 読み始めてみたら、けっこう小説と違う。トーマのほんとうの死因はなかなか明かされない。ユーリとエーリクが出会うのは墓地ではなくて公園。出かけた先で…

佐藤正午「小説の読み書き」628冊目

佐藤正午の本は全部読んでるし持ってる上に、ときどき読み返す。そんな作家はこの人しかいないのだ。なるべく全部読む作家は他にもいるけど、借りるか、買ってもすぐ売るので手元に残らない。というわけで佐藤正午の本はいつでも読み返せる。 1章毎に1人の…

高野秀行「幻のアフリカ納豆を追え!~そして現れた<サピエンス納豆>~」627冊目

あー面白かった!本当に面白かった。納豆という、どんなにお金がなくてもこれさえ食べていれば相当生き延びられるほど、安くて滋養豊富な食品(世界中どこでもきわめて安価で、材料や完成品が取引されてることもわかった)をネタに、著者はとうとう世界制覇…

萩尾望都「一瞬と永遠と」626冊目

これはエッセイ集。さまざまな雑誌に1980年代から2000年代までに掲載された雑多な、主にマンガや映画の感想をまとめたもの。特に映画に関しては私が見たことがあるもの、最近見たばかりのものも多いので、うんうんなるほどと楽しく読みました。映画の感想を…

萩尾望都「銀の船と青い海」625冊目

これはすばらしく美しいカラーのイラストと詩文をまとめた本。 文章も美しいし形も美しいけど色使いもすごい。まったく定型的じゃなくて。 テーマの中にはちょっと残酷なものもある。彼女の作品の中で死は友達みたいだ。恐れるべきものではなく、美しさや純…

萩尾望都「トーマの心臓」624冊目

少年期のたかだか1年くらいの間だけ愛した少年の、当人がまったく気づいていない事情のために、自分を投げ出すというのは、高僧が通りすがりの飢えた虎にやすやすと自分の身体を投げ与えるのと同じくらい、簡単すぎる。そこまでの”至高の愛”をど真ん中に据え…

萩尾望都「11月のギムナジウム」623冊目

これはSF色のうすい、抒情的なジュブナイル作品集でした。この人はほんとに絵がうまいなぁ。登場人物がなんというか上品で美しくて、それだけで好感をもってしまって、キャラクターに惹きつけられてしまう。乱暴者でも、わがままでも。 物語は人間の根源的な…

萩尾望都「恐るべき子どもたち」622冊目

続いて読んだのがこれ。映画を見たつもりだったけど見てませんでした。漫画は漫画家の理想をそのまま 絵にできるので、現実離れした他人の空似や、キャラクターを完璧に画像化することもできるけど、映画には役者自身や役者どうし、その場のマジックがあるか…

萩尾望都「11人いる!」621冊目

Eテレの「100分de名著」恒例の年末年始特番で「100分de萩尾望都」という番組をやっててたのを見て、読みたくなって借りてきました。 私も小さい頃から、日本の少女として正しく少女マンガを読みふけったものでしたが、萩尾望都作品は(む、むずかしい…わから…

みずほ証券リサーチ&コンサルティング、アイ・コンセプト編「IPO・内部統制の基礎と実務第2版」620冊目

この手の本を読み始めて初めて、福岡など地方に新進企業のための株の市場があることを知ったりしています。経営の学校に通ったのはもう15年前…それ以来すっかり縁遠くなっていました。 上場について書いた本で読者として想定してるのは小企業というより中規…

EY新日本有限責任監査法人 編「IPOをやさしく解説!上場準備ガイドブック第4版」619冊目

新年早々ずいぶん堅い本ですが。このあとしばらく、これ系が続きます。 小さい会社がいつか上場(またはM&A)を目指すとき、バックオフィスでは何をしておかなければならないか?というのを調べています。この本はわかりやすく読みやすく、何度も読み返しなが…

明司雅宏「希望の法務」618冊目

最近また法務の仕事を始めたので、オンラインセミナーを受講したらこの本が紹介されたので、さっそく読んでみました。 めちゃくちゃ地味な装丁。最近ここまでシンプルなのは珍しいくらい。単行本なのに岩波文庫みたいだ。奇をてらったり見た目で勝負しようと…