リサ・ガードナー「噤みの家」883冊目

映画ばかり見てると、本を一冊読み切るのってエネルギーとか知力が必要だなと感じる。この本も文庫本で500ページ超。 とても面白かったし、登場人物ひとりひとりに肩入れしたくなる深い造形も、不幸で不運だけど力強く歩いていく姿勢も、とても読み応えがあ…

安壇美緒「ラブカは静かに弓を持つ」882冊目

JASRACと音楽教室の間のトラブルを元にした小説。だけど全然社会派ではなくて、音楽教室にスパイに行かされたその団体の内向的な職員が、音楽を取り戻し、自分の生きる道に気づくという人間ドラマとして書かれています。 その職員の長身でイケメンで無口で音…

エマニュエル・ドンガラ「世界が生まれた朝に」881冊目

高野秀行「語学の天才まで一億光年」を読んだら、この本を卒業制作にして最優秀賞を取ったと書いてあったので読んでみました。リアルなのか空想っぽいのか、西欧批判なのか地元批判なのか、はたまたすべてを認めているのか、価値観がひとつでなく移ろってい…

宝樹「三体X」880冊目

面白かったー!(最後のオチがしゃれてたので、読み終わった直後の満足感がすごい) これが、ファンが書いた二次創作だなんて信じられない。大中国の読書人の層の厚さが怖いくらいだ。宝樹の筆力を支えている知識や経験はどれほどのものなんだろう。 もとも…

高野秀行「語学の天才まで一億光年」879冊目

面白かった。この人の本はいつも面白い。冒険ではなく語学に主眼を置いて、今までの冒険を焼き直したような本なので、冒険には興味がないけど語学学習に興味があったり仕事上や学習上の必要のある人が読むかもしれない。(語学教材を作る仕事をしてたときの…

飯間浩明「小説の言葉尻をとらえてみた」878冊目

実際、小説を読んでいると、言葉尻というか枝葉末節に当たる部分の表現が気になることがよくあります。日頃から「なんて文章のうまい作家だろう」と思っている人の使う”珍しい”表現は、昔の言葉だったり、聞きなれた言葉の独自の組み合わせだったりして、私…

美濃羽まゆみ「『めんどう』を楽しむ衣食住のレシピノート」877冊目

あまり私が読みそうにない本、と自分でも思う。なんとなく読んでみたくなったのは、フルタイムの仕事を辞めて以来、どんどん油っけが抜けて、華やかな色合いや大きな柄の洋服を着るのが苦痛になってきたからか。(前は滅多に着なくても、あるだけでちょっと…

角田光代「くまちゃん」876冊目

確か「理想的本箱」という番組で紹介されてました。角田光代の本は多分1冊くらいしか読んでないけど、映画化されたものは「紙の月」「八日目の蝉」「愛がなんだ」のどれも印象に残ってて、リスペクトしてる作家です。 その作家がなぜ「くまちゃん」。気にな…

近藤麻理恵&スコット・ソネンシェイン「Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる」875冊目

3冊目は職場です。会社員の頃の私の机は常に散らかってました。「ぐちゃぐちゃ」ではなく、B4くらいの作業スペースの周囲を、重ねただけの書類の高い塔が取り囲んでいて、机の下は膝が入るスペースだけを空けた紙袋の海。少ない荷物、何もないデスクに憧れて…

近藤麻理恵「人生がときめく片づけの魔法2」874冊目

「1」を読んだとき、「100%同意するけど、洋服のたたみ方とか引き出しの整理のしかたとか、文字だけじゃわからないなぁ」と思ったら、その辺を図解した本がちゃんと続編として出てました。1を理解した人には、片付けコンサルタントか、いなければこの本が…

シヴォーン・ダウド「ロンドン・アイの謎」873冊目

ロンドン・アイができたり、テムズ川岸が再開発されてオシャレな街になった後はほとんど見てない。「テート・モダン」しか知らない・・・。1992年にロンドンのアールズ・コート近くに滞在してたとき、あの駅のどっちを出れば展示場に出られるのか迷ったのを…

近藤麻理恵「人生がときめく片づけの魔法」872冊目

この本、昔読んだことがあるはずだけど、NHKの「SWITH INTERVIEW」にこんまりさんが出演してるのを見て、改めて読んでみようと思いました。私の部屋は、会社を辞めた3年ほど前に片付けたはずだけど、やはりモノがあふれていて、すっきり片付いた部分は食器棚…

井上拓「SNS別 最新 著作権入門 「これって違法!?」の心配が消える ITリテラシーを高める基礎知識」871冊目

SNS上のコンテンツ著作権について書いた本は、見つけたら片っ端から読んでます。図書館で借りられるものは借り、良さそうだと思ったものは読み終える前に買う。そうやってこの本も、借りた当日に購入しました。 これってどうなんだろう?と疑問に思いながら…

アニー・エルノー「嫉妬/事件」870冊目

「シンプルな情熱」に続いて、先日ノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーを読んでみます。手元にあるのは表題が「嫉妬」だけの2004年版だけど、「事件」も併録されているのでタイトルは後に出版された文庫版に合わせて「嫉妬/事件」とします。 エルノー…

中野善壽「ぜんぶ、すてれば」869冊目

ずいぶん前に予約の列に入って、やっと手元に届いた。寺田倉庫がスゴイというのは聞いてたけど、カンブリア宮殿に出てたっけな、くらいで記憶が薄れかけてました。 最近は、上から目線で人生訓や長年の苦労を語る経営者が目立たなくなって、こんな風に「実際…

アニー・エルノー「シンプルな情熱」868冊目

恋する人間の女性の感覚を研究した論文みたいな小説だった。 脳梗塞の発作を起こした脳科学者が、自分を研究対象にした論文を書くのと同じだ。プロフェッショナルな研究者が、専門領域(この著者はフランス文学の教授資格を持ってる)に該当する事態に自分が…

室橋裕和「ルポ コロナ禍の移民たち」867冊目

「ルポ新大久保」がとても面白かったので、新作もさっそく読んでみます。 こっちは日本で暮らすさまざまな移民がコロナ禍のなかでどんなことに不自由したり、逆に奮起したりしているか、著者が日本各地へ出かけて行って直接体験し、お話をしてまとめています…

カレル・チャペック「マクロプロスの処方箋」866冊目

すっごく面白かった。カレル・チャペックがこんな戯曲を書いてたなんて、驚いてしまう。 彼の「山椒魚戦争」を読んだらファンになってしまい、RURやらダーシェンカやらも読んだしチャペック展にも行った。(※この間20年以上たっている)確かに彼は優れたスト…

室橋裕和「ルポ新大久保~移民最前線都市を歩く~」865冊目

新大久保、先日もベトナム料理を食べてきました。行くたびに、どの店で何を食べたらいいか悩む。が多すぎて苦手って思ってたけど、いつの間にか気軽に行ける町になってた。一時期「ギー」を買いにイスラム横丁に通ってたのと、大久保図書館をたまに使うよう…

筒井康隆「残像に口紅を」864冊目

いいなぁ筒井康隆。年とったら、映画「ハロルドとモード」のモード婆さんのようになりたいと思ってる私ですが、男だったら筒井康隆もいいなぁ。誰の言うこともきかず、面白いことをやり続けたいもんです。 この小説も大笑いしながら読みました。表現から徐々…

今村翔吾「塞王の楯」863冊目

これは面白かった!すごいですね、この作家。城壁が複雑な職人技で作られていることは知ってたけど、その世界をここまでふくらませて構築するとは。大変読み応えあり、先を急いで読んでしまうエンタメ性もあります。変な比較だけど、最近の中国SFの強豪たち…

桜庭一樹「少女を埋める」862冊目

小説には、事実関係や登場人物たちの気持ちをくっきり明確に描くものと、ぼかして描くものがある。「少女を埋める」は自伝的小説なので主人公から見た事実と彼女自身の気持ちは明確だけど、それ以外の人たちは他人として描かれるので事実関係も気持ちも明ら…

ケニルワージー・ウィスプ(J.K.ローリング)「クィディッチ今昔」861冊目

ちょっと調べものをした関連で、こんな本があることを知って、読んでみました。伝統的なスポーツの本として普通に面白かった。世界をひとつ、ふたつ、ゼロから創造してきたんだもんな、ローリングさんは。世界中の老若男女がすっと受け入れて共感して感動で…

朝倉かすみ「平場の月」860冊目

ふしぎな味わいの本だと思った。 舞台は埼玉の中くらいの大きさの町、登場人物は印刷会社の男と病院の売店でパート勤務している女。お金がないから、と言って、女の家で家飲みをする。外食するときも駅前の焼き鳥屋。なんだか侘しい。読んでる自分と似たよう…

ピーター・ボグダノビッチ「映画監督に著作権はない フリッツ・ラング」859冊目

この挑戦的な邦題。原題がこの本のどこにも書かれてないのであちこちググった結果、「Fritz Lang in America」という、当たり前すぎるタイトルで拍子抜けしました。でもこっちのほうが聞き手の、普通のアメリカを情緒豊かに描くピーター・ボグダノビッチらし…

紋谷暢男 編「JASRAC概論」858冊目

JASRACの細かい規定が知りたくて本を探したんだけど、これ以外には見つからず(他はみんな批判的なものばかり)、借りてみたのですが、実務よりJASRACの歴史や法的根拠を書いた本でした。間違えた~~ 以前受講した、日本音楽出版社協会の「音楽著作権管理者…

遠藤周作「影に対して」857冊目

この短篇集を読むとき、主人公の姿を「のび太」として思い浮かべるといい。 小説のなかでは一人っ子のこともあれば、兄がいる設定のものもある。弟と考えた方が、主体性のなさがイメージしやすい。 父と別れてひとりで息子を育てている母の財布から、小銭を…

森・濱田松本法律事務所 編「情報コンテンツ利用の法務」856冊目

良書だなぁ。 よく疑問に思うけど判断基準がわかりづらいトピックについて、しっかり過去の裁判例を示して非常に論理的かつ簡潔に説明してあります。専門の弁護士にちょっと相談してみたら、こういう意見がビシッと返ってきそう。この法律事務所に実際に相談…

安藤和弘「よくわかる音楽著作権ビジネス 実践編 6th Edition」855冊目

広い範囲を整理してまとめてあって、かつ、各章の冒頭のマンガでポイントがつかみやすい。実践編だけど初心者にも良い本だと思います。 知財にかかわる仕事を長いことやってるけど、途中何度も抜けたので、法律がどんどん変わってるし、一生関わっていこうと…

骨董通り法律事務所 編「エンタテインメント法実務」854冊目

買う前に図書館で借りてみたのですが、必携だとわかったのですぐに買います。 エンタメ関連の法律解釈・運用に関して、福井先生をはじめとする骨董通りの先生方の信頼度は高い。交渉力が比較的低い実演家の立場をつねに配慮しつつも、レコード会社や放送局の…