竹本健治「涙香迷宮」1028冊目

これは面白かったわ~。 著者の知的体力というか胆力というか、「そこまでしなくても」というほどトリックにトリックを積み上げていて、すごいです。それほど昔の本ではない割に、なんとな~く女性の描き方がステレオタイプだったり、昭和の香りがただよって…

幸田文「木」1027冊目

これは、神社で木の芽をもらってきて大切に育てる「平山」が読みそうな本だな。(久々に会った妹と去り際にハグしたり、カセットテープでルー・リードを聴くのは、平山に憑依したヴェンダース監督だとおもう)私は植物はサボテンでも枯らすけど生き物はザリ…

ブレイディみかこ「RESPECT リスペクト」1026冊目

昔の女性アナキストについて学び、懐かしみ、憧れつつ、現代に生きる女性がアナキストとして立つ・・・という建付けは、他の小説と同様。こんどはサフラジェットと、ロンドンのシングルマザー用施設を追われた若い母たちが立ち上がるさまを対比しています。…

泡坂妻夫「しあわせの書」1025冊目

面白かった。昭和62年が初版のこの文庫本。時代を感じさせる設定(まだスマホはおろか携帯もない、ネットで調べものもできない、などなど)、なんとなく楽観的な語り口。この感じ、バブル前期あたりの小説によくあった。ちょうど私もこれから東京へ行って大…

雨穴「変な家」1024冊目

何年か前に深夜テレビで、ドラマ化したのをやってました。これが気味悪くて面白くて・・・。あのときは確か一話完結のオムニバス ストーリーだと思ってたけど、これは1冊で一話でした。登場する間取りは3軒分、中心にいる人物は共通してる。面白いけどパズ…

杉井光「世界でいちばん透きとおった物語」1023冊目

タイトルからは、いまどきの若い人が書いたエモいミステリーかなと思う。そういう趣もないではないけど、感覚的、感情的な文体ではないし、ストーリーは一貫してる。それより何より、読んでいる途中でソレに気づいたときの鳥肌が、この本の読書体験の最高の…

島田荘司「占星術殺人事件」1022冊目

面白かった!読み応えあった! トリックは確かに大胆不敵、しかも犯人が・・・。読み始めたときは「魍魎の匣」みたいなオカルトっぽいミステリーだと思ったし、そういう雰囲気をかもし出すために設定を昭和初期にしたのかなと思ったけど、トリックの設定上も…

佐々涼子「夜明けを待つ」1021冊目

この人の文章ってすごくきれい。母親が少し上から見下ろしてるようで、やさしくて正しい。なんとなく、佐々涼子ってきっと、すごくきれいな声の人なんじゃないかと思う? 死がちかづいてくるから死を思うのかな。私はいつも死にそうだった母のことを見てたか…

ジーン・シャープ「独裁体制から民主主義へ」1020冊目

「100分de名著」で取り上げたのを見て読んでみました。これって原作がパブリック・ドメインなんですね。著者ジーン・シャープは2018年まで生きたので、当然のように著作権が消滅したわけではなくて、本人が財産権を放棄したわけだ。テーマが非暴力革命で、お…

市川沙央「ハンチバック」1019冊目

あーー面白かったーー! 電車の中でカバーもつけずに読んでいたら、B級かC級くらいの感じのエロ小説が始まったので困ってしまった。いろいろ戸惑う部分もたくさんあったけど、まずはあまりの面白さにあっという間に読み終えてしまったことを書いておきたいで…

延江浩「J」1018冊目

この本の紹介をどこかで見たとき、すごく下世話で品のない本かなぁ、でも読んでみたい、と思った。読み終わった感想をいうと、思ったような下品さは全然ない本だった。この著者のことは全然知らないけど、もともとこういう純文学っぽい文章を書く人なんだろ…

朝倉秋成「六人の嘘つきな大学生」1017冊目

いや本当に、就職面接なんてやっても、人間のなにも見えやしないと思うよ。とくに内面は。外面のよさは、今後営業職をやらせる人ならある程度うまくやれるかどうかが面接でもわかると思うし、焼き魚をきれいに食べられるかどうかは、精密機械を扱うスタッフ…

追跡団火花「n番部屋を燃やし尽くせ」1016冊目

まず賞賛と激励の拍手。まだ若い韓国の女性二人が、のちに警察や人権団体のサポートを受けるとはいっても彼女たちだけで、ここまでの戦いを成し遂げたことに感動をおぼます。と同時に、「無事でよかった・・・」。日本と同様韓国も、正義を貫こうとするもの…

坂本龍一「ぼくは、あと何回、満月を見るだろう」1015冊目

坂本龍一のことを私はたぶん、自分とかより”進化した人類”、目指すべきもの、と思っていて、どうやっても近づきようのない高みにいる存在だった。バッハとかモーツァルトみたいな。こんなに早く、ろうそくを吹き消すみたいにいなくなってしまって、ぽかんと…

今井むつみ・秋田喜美「言語の本質」1014冊目

見た目もタイトルも、おそろしく地味。ためにはなるけど堅くてあまり面白くない本・・・に見えます。最初のほうは私もそう思って読んでいました。私は言語にふだんから興味のある方だから、オノマトペだけでぐいぐい読めるけど・・・って。 書きぶりも、面白…

うかうか「それゆけ犬HK」1013冊目

NHK、それも大河とか朝ドラじゃなくて、「ドキュメント72時間」とか「100分de名著」とか語りだす人、たまにいます。「ピタゴラスイッチ」と「みんなのうた」が好きな人とか・・・料理と体操が好きな人とか・・・ この著者もきっとそういう人なんだろう。だっ…

國友公司「ルポ歌舞伎町」1012冊目

あー面白かった。著者のTwitterで、この本がAmazonプライム会員なら「読み放題」(つまり追加料金なし)で読めることを知ってすぐにKindleにダウンロードし、あっという間に読み切ってしまいました。 この人の本は、やくざの世界をやたらと残虐に、あるいは…

矢内東紀「ChatGPTの衝撃」1011冊目

なんて退屈な、特徴のない、木で鼻をくくったような文章なんでしょう。・・・というのが正直な読み心地です。「えらいてんちょう」の本は何冊も面白く読んだのに、あの率直でエモーショナルな語り口はどこにもない・・・なぜなら、これは彼が自分で書いたん…

夕木春央「方舟」1010冊目

どこかで推薦されてるのを見て、読んでみました。新しい動機とトリック、巨大などんでん返し。 こういう、さっきまで仲間だった人が次々に死んでいくミステリーって、いくつになっても慣れない部分がある。純粋にパズルとして解ければいいのになぁ。あるいは…

高野秀行「イラク水滸伝」1009冊目

やっと読み終わった。この本も面白かった~。サクサク楽しく読めるけど、ページ数でいうと470ページもあるのだ。読後はまるで自分も「ディシュダーシャ(長衣)」と「チャーヒーエ(頭巾)」、「イガール(黒い輪)」を着用してタラーデ(手作りの木の舟)を…

マリアーナ・エンリケス「寝煙草の危険」1008冊目

装丁がまず綺麗。蛾は苦手だけど、この本の中の世界の不思議な美しさを象徴していますね。 カズオ・イシグロが激賞しているという、新進気鋭のスペイン語文学の作家は、アルゼンチンの女性らしい。文学界のロック・スターだ、ホラー・プリンセスだ、とも書か…

早川書房編集部・編「世界短篇傑作選 天外消失」1007冊目

読むのに時間がかかってしまった。 昔の翻訳なので、舞台っぽいというか、若干口語に今より誇張が多くて少し読みにくい。そこが魅力でもあるので、楽しむためには読むのがゆっくりになってしまう。トリックも、「それアリかよ!?」のテイストが最近の、たと…

「地球の歩き方BOOKS 世界のかじり方 世界のレシピBOOK」1006冊目

これは・・・良い本だ。パラパラ眺めても楽しいし、材料をチェックするのもいいし、何より、実際に作るためのレシピがしっかり載ってるのがすごい。本場の味が再現できそうだけど、思ったほど手間がかかりすぎない。材料も、日本で入手できる??と心配にな…

中村安希「N女の研究」1005冊目

フルタイムの仕事を辞めてから、興味があっても今までは遠くから眺めているだけだったNPOのいくつかに実際に顔を出すようになって、若くてキラキラした女性たちが生き生きと働いているのを何人も見ました。中には高学歴の帰国子女と思われるバイリンガルで仕…

ハヤカワポケットミステリ「51番目の密室(世界短篇傑作選)」1004冊目

余暇に読むのはやっぱりミステリーですよ。11月はじめの連休前に借りて、結局ズルズル1週間くらいかけて読みましたが。 もともと1973年発行の「世界ミステリ全集」18巻に収めた37篇の短編を、小分けにして出し直したもの。これは2010年の発売だけど、作品の…

小梅けいと・アレクシェーヴィチ「戦争は女の顔をしていない(コミカライズ版)」1~4 999~1003冊目

この本はずっと気になっていたけど、原作を読むのをずっと躊躇してました。事実の重さに耐えられる自信がなくて。少女漫画として描かれたものなら、少なくとも、残酷さを強調することはないだろうと思って、やっと重い腰を上げてみた次第です。 文字で読むの…

見坊行徳・三省堂編修所 編著「三省堂国語辞典から消えたことば辞典」998冊目

あー面白かった。読む前は、流行語やサービスの移り変わりを反映した削除語を集めたものだと思ってたけど、同じものの言い換えによって見出し語が変わったものがあったり、性的な俗語が一掃されたり(編集趣旨の変化によるものらしい。小僧どもがそればっか…

地球の歩き方BOOKS「世界のすごい巨像」997冊目

久しぶりにこのシリーズ読みました。楽しい~~~ どでかいものって、なんかこう惹かれますよね、圧倒されるというか。先日、青森の十和田現代美術館で巨大なおばさん(ロン・ミュエク作「スタンディング・ウーマン」)に会ってきました。ものすごく普通の白…

中村安希「インパラの朝」996冊目

この本もまた「一万円選書」のなかの一冊。冒頭でつまづいて、最初の30ページを読むのに半年以上かかってしまった。読み終えてみると、彼女の目で中東やアフリカの地べたの風景を見たような実感があるけど、最初はすごく自分で自分を見つめて書いたエッセイ…

山口貴大「年収300万円FIRE」995冊目

似たようなタイトルの本、たくさんあるなー。もっと、一人暮らし女性向けとか、生活が困窮している人向けに書いたものがあってもいいと思うけど、読む余裕もないから書かれないんだろうか。 要は「若いうちはできるだけ稼げ、どんなに稼ぎが増えても生活レベ…