ホルヘ・ルイス・ボルヘス「伝奇集」681冊目

ベルトリッチ監督「暗殺のオペラ」を見たんですよ。で、原作も読んでみたくなって借りてみたわけ。この本でボルヘスは、書かれなかった本のあらすじだけを語るっていう体裁で、いろんな物語を語ります。その手法は、ズルいくらい読みたい心をそそる、読む人…

伊藤計劃「虐殺器官」680冊目

2007年に書かれた著者の初長編小説で、日本の2000年代を代表すると言われている作品。遅ればせながらテッド・チャンやケン・リュウを読み始めた日本人としては、押さえておくべき作品。 アメリカ軍に所属する暗殺者である「ぼく」が語る形になっているSFであ…

村井章介「世界史のなかの戦国日本」679冊目

高野秀行の読書本で取り上げられてたのを読んでみました。歴史がまるでダメで、大河ドラマとか見ても全然理解できない私にはとても難しい本だったけど、面白かった。蝦夷地や琉球の支配、ヨーロッパからの武器の伝来、倭寇や秀吉の朝鮮出兵といった出来事を…

工藤吉生「世界で一番すばらしい俺」678冊目

Twitterでどこかからこの著者の言葉が流れてきてちょっと驚愕&ドン引きして、気になってフォローして、歌集を読んでみなければと思って借りてきました。 著者の想像どおり「あとがき」から読む。どういう人なのか知りたい(下世話な好奇心)。 読むのがちょ…

乾き亭げそ太郎「我が師・志村けん」677冊目

これは、20年にわたって志村けんの付き人兼運転手~弟子として身近に見てきた芸人の書いた回想記。日本じゅうの人たちが、志村けんのことをもっと知りたかったと思っている今、すごく求められていた本だと思います。 ものすごくストイックで、芸のために自分…

西日本新聞「九州の100冊」676冊目

私が好きな作家として挙げる村田喜代子、佐藤正午、松下竜一という3人は全員九州の人だ。なかでも松下竜一は西日本新聞の短歌の投稿欄で頭角を現した人なので、きっと彼のことが書いてあるに違いないと思って借りてみたら、案の定取り上げられていました、3…

高野秀行「移民の宴」675冊目

今度は日本国内にある、各国からの移住者コミュニティを訪ねて、彼らのご飯を見せて(食べさせて)もらうという企画。海外に出ることも戻ることも難しくなっている昨今、これはいい企画だ(書かれたのは10年も前だけど)。 たいがいの海外からの移住者は、自…

高野秀行x清水克行「辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦」674冊目

高野秀行の辺境書を何冊か読んだ流れで、これも読んでみました。 急にハードル上がったかな。歴史をまるきり全然勉強してこなかった、受験科目からも外した私には、出てくる日本史上の話にまったくついていけません。でもすごく面白い。辺境を目指す人たちは…

「月10万円で豊かに暮らせる町&村 Vol.1と2」672~3冊目

年金が出るまでまだあと10年もある。それまで(それ以降も)なるべく貯金を減らさずに暮らすにはどうすればいいか…。収入を増やすか。でも今はフルタイムでガチガチに働くのはもうしばらく休みたい(あるいはこのままやらずにすませたい)。そうなると生活費…

高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」671冊目

海外旅行いけないなら、高野秀行の本を読んでればいい。というか下手に海外旅行行くより面白くて充実してる。というかこんなところ一生行けない。 この本は、物騒な予感がするので後回しにしてたけど、思い切って読み始めたら、いつも通りの抱腹絶倒ぶりでし…

ジョシュア・フィールズ・ミルバーン+ライアン・ニコデマス「minimalism 30歳からはじめるミニマルライフ」670冊目

荷物を減らして田舎暮らしをしたい、キャンピングカーで生活したい、とつぶやきながらまたこんな本を借りてみます。(ガラクタでいっぱいな部屋の中で読んでる) ハウトゥも少しはあるけど、ほぼ全編が、過剰でストレスフルな生活から不要なものを排除してミ…

立花珠樹「もう一度見たくなる100本の映画たち」669冊目

この著者の「あのころの日本映画が見たい」を手に取ったのが、私が映画を片っ端から見るようになったきっかけでした。なぜか感想文が残ってないけど多分2011年のこと。ちょうど10年前ですね。新刊が出てたのでさっそく読んでみます。 目次をぱらぱら…この10…

J.T.リロイ「サラ、いつわりの祈り」668冊目

これが「J.T.リロイ」名義での2冊目。時系列的にはこっちがずっと先で、4歳のジェレマイアが里親から娼婦の実母サラのところに戻され、福祉の人が聞いたらただでは済まないような逆境の中でゆがみながら育っていく様子がつづられています。 これってちょっと…

J.T.リロイ「サラ、神に背いた少年」667冊目

VODで「作家、本当のJ.T.リロイ」を見たら読みたくなってしまった。これを書いて、JTリロイのマネージャーとして世に出たローラ・アルバートという女性は、虚言癖なのか多重人格なのかわからないけど、人を騙して儲けようという意図でやったのではなさそうだ…

沼畑直樹「最小限主義。」666冊目

思い出も愛着も、基本的に「人には何も必要ない」と決めてしまえば、ポイポイ捨てられれう気がしてくる。私は実家を引き払ってきていて、生まれたときからの荷物を全部持ち歩いている。アルバムも絵も文集も、愛読書もCDも。レコードやカセットテープまであ…

個人事業者の確定申告の本2種 664-665冊目

両方ともよい内容だったので、備忘録として書いておきます。両方とも成美堂出版でお値段も同じだけど、前者は「ムック」で4コマ漫画まではさみこんでいて、本当にわかりやすい。詳しくはないけど、私みたいに苦手意識が強くてとっかかりがわからない者にはあ…

坂下千瑞子「がんになった人だけが知っている人生で大切なこと」663冊目

中年になると、友人や知り合いにがん経験者が何人もいます。私なんて、健康診断で再検査になっただけで眠れないくらいなのに、見つかってしまって、入院することになって、手術して…という心労は想像もできないです。何の気なしに、あるいは励ましたり慰めた…

鎧淳 訳「完訳バガヴァッド・ギーター」662冊目

「マハーバーラタ」は完全に現代語訳になっていたので面白く読めたけど、この本は古文調なので読み進めるのがキツかった、というか、結局最後まで眺めただけでした。むずかしすぎます。原文もご神託なのでおそらく全く分かりやすくはないと思うけど。 わかっ…

チャールズ・ブコウスキー「パルプ」661冊目

なんてデタラメで痛快で面白いんでしょう。彼の作品の擁護者と批判者は、はっきり二分されるんだそうですが、擁護者のなかに「千年の愉楽」の中上健次がいて「なるほど」と思ってしまいました。 私はマジメで几帳面なところのある人間だけど、彼らの魅力が理…

松下竜一「底ぬけビンボー暮らし」660冊目

敬愛する松下竜一の本、「ルイズ」とか「砦に拠る」以降読んでなかったので読み直し始めています。比較的新しいものも読んでみよう、かつ、会社を辞めて収入が激減したので「ビンボー」に敏感に反応した、というのもあります。(というか、今わたしは大節約…

劉慈欣「三体2 黒暗森林(上・下)」658-9冊目

あー面白かった。 「三体1」を読んだのは2年半ほど前なので、相当内容を忘れてました。それ以上に、共通の登場人物が意外に少ない、というか、中心人物がほとんど入れ替わっているのが(私なにも覚えてないや、このまま読み進めて大丈夫かな)という不安材…

デーヴァダッタ・パトナーヤク「インド神話物語 マハーバーラタ」657冊目

ヨガも瞑想も、いろんな流派があって唱えるマントラも違うしアーサナの流れも違うんだけど、源流にあるのは「ヴェーダの知識」らしい。クリシュナというヒンズー教の神様の名前を唱える流派も多い。いったいクリシュナというのは何をした方なのか。ジーザス…

松下竜一「豆腐屋の四季」656冊目

「いつか読書する日」という映画を最近見ました。田中裕子演じる独身の50歳の女性は、一人暮らしで牛乳配達とスーパーのレジ打ち、2つの仕事をかけもちして暮らしています。夜明け前に自転車で街を回って牛乳を配達していくその人の姿が、けなげで真っすぐで…

ブレイディみかこ「ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー」655冊目

ブレイディみかこさんは、テレビや雑誌の記事で何度も見たけど、私と同年代なのだ。私もパンク好きでバンドやってたし1992年にロンドンに半年住んでいたことがあって、「ここの誰かと恋をして結婚して、ずっと住んだらどんな感じだろう」と何度も何度も想像…

森瑤子「アイランド」654冊目

与論島に行ったときのことを思い出して読んでみる。この本はガイドブックで紹介されてたし、森瑤子は与論に別荘をもち、地元の人とも親しくしていて、今はエーゲ海ふうのタイル貼りの素敵なお墓となって与論にいつづけています。 私は同時代としては、彼女の…

カズオ・イシグロ「忘れられた巨人」653冊目

新刊が出たので読みたいけど、その前の小説も読んでなかったので、まずこれから。 読み始めてみたら、なんだこの中世イギリスっぽい”世界観”。主人公は老夫婦だけど、鬼が出る村があったり勇者が何かを退治に行ったり、私はロールプレイングゲームを始めたん…

高田好胤「心 いかに生きたらいいか」652冊目

図書館の「リサイクル本 ご自由にお持ち帰りください」コーナーにあったのを持って帰って読みました。この本は実家にもあった。母がありがたく読んでた。やたらと般若心経を勉強しようとしてたのは(その後父もだけど)、この人の影響だったということがよく…

三島由紀夫「美しい星」651冊目

珍しくSFめいた作品。星新一の本の題名にありそうな。 しかし登場人物は、何かの強迫観念的イデオロギーを抱いてしまった潔癖症の人々という意味では、三島由紀夫のあらゆる小説と共通しています。 自分の本質が金星や木星から来た宇宙人で、地球人の身体を…

能町みね子「そのへんをどのように受け止めてらっしゃるか」650冊目

いつもTwitterを面白く見ているし、テレビで見るときも感覚鋭く的確で「この人いいなぁ」と思ってたのですが、文章だとさらに歯に衣着せぬ発言で埋め尽くされていますね!ちょっと引いてしまうし、直接会ったら切り刻まれてしまって私など灰も残らないんじゃ…

三島由紀夫「天人五衰(豊饒の海4)」649冊目

<ネタバレあり> 私が望んだ結末は、良しあしとか価値評価はさておき、輪廻転生が終わったのかどうかは明確にしたかった。ジン・ジャンに双子の姉妹がいたなんて一言も誰も言ってなかったんだから、慶子が再会したのが輪廻を終えた後生き延びた彼女自身だっ…