本)SF

山口雅也「奇偶」967冊目

(ネタバレ?あります) あえてミステリーではなくSF枠で登録します。これはなかなか難解というか、難しい言葉をたくさん使っているけれど、要は量子力学(01ではなくその間のどこかに存在する)とかシュレディンガーの猫という問題をぶわっと膨らませて、ボ…

劉 慈欣「老神介護」950冊目

劉 慈欣の初期の中編集、第二弾。第一弾「流浪地球」は3月に読んで面白かったけど、こちらもずっしりと面白かったです。 大昔に地球を発展させた神々は年老いて愚かかつ脆弱になり、地球を終の棲家と考えてやってきた。でも一家に一人の謎の介護老人は受け入…

柴田元幸・小島敬太 編訳「中国・アメリカ謎SF」926冊目

中国とアメリカの、新進気鋭のSF作家の短編を集めた本です。 この中では冒頭の「Shakespeare(遥控)」と名乗る作家の「マーおばさん」という作品が面白かったなぁ。脳の神経ニューロン→アメーバ→小さい生物(昆虫など)の集合、と連想してなんとなく納得し…

劉 慈欣 「流浪地球」913冊目

「三体」で一世を風靡している劉 慈欣の、こちらは角川から出ている中編集。300ページほどのこの本に6編の壮大なアイデアが詰まっています。ほんとこの人、発想が宇宙級です。難しい科学の本を読んでるような難しさはあちこちにあるけど、SFですから全部つい…

宝樹「三体X」880冊目

面白かったー!(最後のオチがしゃれてたので、読み終わった直後の満足感がすごい) これが、ファンが書いた二次創作だなんて信じられない。大中国の読書人の層の厚さが怖いくらいだ。宝樹の筆力を支えている知識や経験はどれほどのものなんだろう。 もとも…

日本SF作家クラブ編「ポストコロナのSF」850冊目

コロナ禍という状況が浸透してきた2021年4月の発行。なんともタイムリーで素晴らしい企画です。これね、19人もの作家(比較的若手が多い)が30ページくらいの短編を競作していて、大変読みごたえがあります。感染症が蔓延したあとの未来を描いてみたり、今そ…

筒井康隆「パプリカ」841冊目

今敏監督のアニメ映画「パプリカ」がすごく好きで、今さら原作を読んでいます。きっかけは、これと同時期に筒井康隆(および多数の読者たち)が執筆中だった「朝のガスパール」を読んだこと。 夢の中にダイブできる世界の作品は、映画やSF小説でもう見慣れて…

筒井康隆「朝のガスパール」840冊目

読んでるとちょっと気分が悪くなる、筒井康隆作品のあの感じ。パソコン通信(私も少しやってた)の内輪っぽさとオタクっぽさ。これでも新聞小説という一般向けメディアなので若干は抑え気味な、それらの「あの感じ」が懐かしいような思い出したくないような…

佐藤究「QJKJQ」794冊目

「テスカトリポカ」がとても面白く、血を見る場面が多いのにも関わらず私でも楽しめたので、別の作品も読んでみた。両方ともミステリー小説と呼べる謎があり、ホラーのようでもあり。とにかく迫力があって、かつ丁寧な文章で、どんどん読んでしまいます。力…

ジョゼ・サラマーゴ「白の闇」778冊目

コロナ禍を予見したかのような過去の映画、たとえばコンテイジョンを、この時期に見ると臨場感あり過ぎてキツイかなぁと思いつつも、関心が強くなっててやっぱり見てしまう今日このごろ。これもまた、謎の感染症が世界を席巻する作品とどこかで聞いて読んで…

ロバート・A・ハインライン「時の門」717冊目

先日読んだ筒井康隆「ジャックポット」が、この短編集の中の「大当たりの年(The Year of the Jackpot)」からタイトルを取ったと書いてて、気になったので乗っかってみました。 「大当たりの年」では、<以下ネタバレ>大当たりというより、いきなりバス停で…

ケン・リュウ「宇宙の春」701冊目

彼自身の短編集、日本版4冊目。ハヤカワのちょい縦長のこの本を読んでるとちょっとワクワクする。 「宇宙の春」 今回も情緒豊かな、SFって感じのしない短編もあります。「マクスウェルの悪魔」は米軍から親の故郷である沖縄へ送られた、日系人女性のお話とか…

萩尾望都「半神」689冊目

また萩尾望都の単行本を買ってしまった。この短編集は、どうも過去にまるごと読んだ記憶がある。それにしても面白いし美しい。少女まんがにしかない「夢」がある。うっとりした感じ。「去年マリエンバートで」みたいな、ゆったりとして夢見るようなトーン。…

萩尾望都「バルバラ異界」683~685冊目

<ネタバレあり> 図書館で4か月順番を待ったけど、まったく順番が進まないのでとうとう買いました。複雑かつ広がりのある、SFでありながら少女まんがの美とロマンを備えた名作でした。 去年マリエンバートで はもちろんのこと、惑星ソラリスと、ミッドサマ…

伊藤計劃「虐殺器官」680冊目

2007年に書かれた著者の初長編小説で、日本の2000年代を代表すると言われている作品。遅ればせながらテッド・チャンやケン・リュウを読み始めた日本人としては、押さえておくべき作品。 アメリカ軍に所属する暗殺者である「ぼく」が語る形になっているSFであ…

劉慈欣「三体2 黒暗森林(上・下)」658-9冊目

あー面白かった。 「三体1」を読んだのは2年半ほど前なので、相当内容を忘れてました。それ以上に、共通の登場人物が意外に少ない、というか、中心人物がほとんど入れ替わっているのが(私なにも覚えてないや、このまま読み進めて大丈夫かな)という不安材…

萩尾望都「ポーの一族1~3」633~635冊目

「100分de萩尾望都」を見て図書館に予約を入れたんだけど、数十人の列ができていたのですぐに借りられるTSUTAYAで借りました。1冊110円。 大長編ではなく、数回の連載と何度も繰り返してるんですね。エドガーとメリーベルとポーツネル夫妻の”家族”、アランと…

ケン・リュウ編「月の光 現代中国SFアンソロジー」631冊目

待ちに待ったアンソロジー第2巻、やっと図書館の予約の順番が回ってきました。 小型だけど510ページもあるし、歴史ものやとてつもなく非現実的な宇宙ものもあるので、なかなか読み進みません。だから、予約の順番が近くなってもなかなか回ってこなかったんだ…

劉慈欣「三体」531冊目

すごく面白かった。けっこうボリュームがあるけど、一気に読んでしまった。 エンターテイメントとして読み応えもあるし、イジワルな目で突っ込むつもりで読み込んでみても、科学的な破綻でしらけることもなかった。(斬鉄剣かよ?というナノテクのくだりは、…