2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

村田沙也加「信仰」987冊目

やっぱりこの人の本は面白い・・・ なんというか、読んでいると時空がちょっと歪む。自分自身の感覚はともかく、「常識的には世の中ってこういうものだよね?」という見方があるとして、それに対して”色メガネ”以上の、万華鏡を通して世の中を見ているような…

高野秀行「西南シルクロードは密林に消える」986冊目

読み終えてタイトルを見ると、なかなか感慨深いなぁ。こういうの「エモい」っていうんですかね? 私も旅行するとき「飛行機で行ける日本のはしっこの島を制覇してみたい」とか「本国と旧植民地をめぐる旅をしてみたい」とか、ごく簡単にできることの中で、何…

井戸川射子「この世の喜びよ」985冊目

”今どきの若い子たち”は、芥川賞受賞作品は読まないけど、本屋大賞受賞作品は喜んで読む、と何かで読みました。これは多分、読まないほうの典型例なんだろう。起承転結が、山でいうと公園の砂場の山くらいの高低差で、ツカミもオチもないしショックも感動も…

高野秀行「怪獣記」984冊目

一日一高野秀行。 けっこう何冊も読んでるけど本来の本業?といえそうなUMAものは初めて。これ、他の本と比べるとあんまり私には刺さらなかったな・・・。なんでかというと、UMAにあまり興味がないから。私から見ると、UFOもUMAも存在するかしないかわからな…

高野秀行「ワセダ三畳青春記」983冊目

一日一冊、この人の本を読んでる。 これも面白かったなぁ~。のちに彼の妻となる人が彼の文章を「あなたの書く文章はすごく『粋』よ」と素敵なほめ方をしているように、この人の書くものは、どんなに汚いものを書いても不潔じゃないし、愛があるというほど大…

日本推理作家協会編「仕掛けられた罠(ミステリー傑作選)」982冊目

面白かった。アンソロジーっていいな、やっぱり。 最近はベストセラー情報を見たり、文学賞受賞作品を調べたりして、読む小説の幅は昔より広がってるけど、それでも全く知らない作家の作品を読んでみたくなることもあります。 高校までは地元の大きな書店の…

高野秀行「間違う力」981冊目

この人の本は全部面白い。ほんとに面白い。この面白さは、ドリフとかひょうきん族とか、バカバカしさの笑い(「ありえない!」)の中で育ってきた人が、どこかにずっと持ち続けて、待ち続けていた面白さじゃないかな?そして、一つ一つ実践して面白くなかっ…

ジェイムズ・リーバンクス「羊飼いの暮らし」980冊目

これも「一万円選書」の一冊。これは読むのに時間がかかった~。エネルギーも必要でした。この表紙にあるような穏やかでのんびりした雰囲気とは真逆の、苛烈なファーマーの生活が淡々と語られていて、その臨場感のおかげで読んでいるだけで一緒に消耗してし…

國友公司「ルポ西成」979冊目

「ルポ路上生活」を読んでから2か月くらいか。これも面白かった。こっちは著者がオドオドしていて(結局何でもやってるけど)(というか形容するうえで放送禁止用語がたくさん必要になる人が多すぎて危険)、なんとなくまだ腹が座ってないような印象。結びの…

北原保雄 編「問題な日本語」978冊目

最近ときどき日本語の変遷についての意見をどこかで読んだり見聞きしたりすることがあるんだけど、小さい頃の厳しい国語の先生たちとは違って、「言語は変わっていくものだ」「俗語や、当初は誤りとされた読みが定着して正しいものと見なされることは歴史的…

小学館文庫編集部「超短編!大どんでん返し」977冊目

面白いわ。やっぱり面白い。しかも短い。”ツイッター小説”(これからはX小説と呼ばねばならないのか)よりは多分長いけど、文庫本を手に取って読もうという気持ちで向き合うとあっという間。短いけど、物足りなさは皆無。従来のありがちなミステリーやロマン…

ブレイディみかこ「スープとあめだま」976冊目

ブレイディみかこが幼い子ども(といっても小学生中高学年くらいから?)に向けて書いた絵本。絵は「ぼくはホワイトでイエローで、ちょっとブルー」の表紙と同じ、多感できれいな目をした少年の絵。 この子がある雪の日、母親に連れられてホームレスをシェル…