困った。読むのがつらかったし、読み終わってひとつもさわやかな気持ちになれない。女性の主人公が複数というか不特定多数の男性と交際していて、それが普通だと思っていることを小説の中でやんわりと主張する小説が、かなり苦手。こういう小説は今はとても少なくなっていて、バブルの頃の特徴だと思う。この頃の男性向けの小説ではもっと、姿のいい女性を片っ端から金品で釣る裕福で若くない男性がたくさん描かれていて、その反発でこういう小説が書かれた、という面もあるのかな。いまは性愛があまり話の中心にならなくなっているとも思う。
そもそも哺乳類が交配によって子孫を残すのは当たり前で、人類が交配を行っている姿は、排せつと同様、人間の美的感覚にはずれることなのに、そこをスルーして自分がきれいだとか楽しいとか思える部分だけを取り出して他を黒く塗りつぶすのが、この中の主人公も「自分しか愛せない」というようなことを言っているとおりの利己的な主張に見えてしまう。
相手が多いから、既婚者だから、こんな風に思うというより、人をアクセサリーみたいに扱うから。人が人の体に触れることは”気”を通わせることで、そこに相手を思いやる気持ちがなければ、たぶん気持ちよくないし、そんなことならしない方がいい。下手なマッサージ師にかかるくらいなら、風呂につかって早寝した方がましだ、というのと同じ。
とか批判するほど私は人を大切にしてきたか?若くてエネルギー過多だった頃は、相手を泣かせたり傷つけたり、何度も何度もしてきたと思うけど、そういうのを後悔してるからこんな風に感じるのかな。17歳でこれを読んだら「この主人公きっと素敵な人なんだろうな。たくさんボーイフレンドがいていいなぁ」くらいに思ったかもしれない。だいたい、感情が激しく動くときは、なにか自分の昔の傷に関係があったりする。克服しきれてないから反応してしまうのかも。
今、私以外の人たちは、こういう小説をどんな目で読むんだろう。本を持ち寄って読み合うような会にも参加してみたいんだけど、(映画と違って)たくさんありすぎて見つけられない…。