2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧
なるほど。こういう物語なのね。私が「これもひとつのファンタジー」と呼ぶやつだ。細かい部分にリアリティがなくて、なんとなくもわっとした違和感を持ちながら読むんだけど、ふわふわとして不思議な高揚感がある。でも私は泣けないんだな。本物の感情が湧…
「三体」で一気に世界のベストセラー作家となった劉慈欣の短編集。ケン・リュウが編纂したアンソロジーで何作か読んだことがあるけど、これほどまとまった形は初めてです。 「月の光」と「円」はアンソロジーの中のひとつだったのに、よく覚えてる。今回も、…
ミステリーじゃないシリーズがあったのか…。何も知らずに読んでしまったら”解決編”がなかった。先日読んだ「冷たい密室と博士たち」は、冒頭に現場の見取り図が載ってるいわゆる”本格ミステリ”だったので、頭を働かせる覚悟で読んでしまって肩透かしになって…
オバマ元大統領の「夏の読書リスト」にあった一冊らしい。オバマさんもだしビル・ゲイツの同じようなリストもチェックはするけど、読みたい本が不思議となくて、これがその手のなかで初めてくらいじゃないかな。(いやクリントンの書いたミステリーはこの手…
哲学の本のようなタイトルだけど、科学の本。太陽が地球を回っているのではなく、地球が太陽を回っている…というパラダイムシフトをはるかに超える(今の私たちにとっては、だけど)、時間は地表のほうが山頂よりゆっくり流れているという”事実”からこの本は…
学問ってふつう、ランダムに見えるものを膨大に集めて規則性や普遍性を見出すことだ。数式ならそれでいいしそれが役立つんだろうけど、ビジネススクールのようなものに通ってたとき、講師の書いた”成功の一般法則”の本に出てくる会社の不正が報道されたり買…
冒険や納豆の本を何冊か読んでいる高野秀行氏の、今回は腰痛に関する本。冒険談にはいつもおおいに驚嘆し共感し楽しませていただいているんだけど、腰痛も共感…私も頸椎と腰椎にヘルニアがあって(脊柱側弯のせいもあるかもしれないけど)、ぎっくり腰になっ…
つげ義春の妻が書いた絵日記(故人)。村田喜代子の本に出てきたのが気になって、読んでみた。 なんとも生き生きとした絵、屈託のない文章。楽しいときとつらいときがあるので、「面白かった」という気持ちではないけど、なんとも言えず、この素直な生活感が…
6篇の中編ミステリーからなるアンソロジー。 海野碧「向こう岸の家」 実家に戻ってきた女性に、小さいころの記憶がよみがえってくる…。ひきこまれる設定だけど、「小さいころに亡くなった彼女の兄」という設定が伏線だと思い込んで引きずってしまった。 両角…
気軽に楽しく読めそうなミステリーのアンソロジーかなと思って借りてみました。ショートショートではなくて、ちゃんと読み応えのある中編5本で、本を5冊読んだくらいの読後感がありますね。 大石直紀「京都一乗寺 追憶の道」 ロマンチックなファンタジー的…
河出書房新社が2017年に出した”おいしい文藝”シリーズの中の一冊。 ほかにも「ぷくぷく、お肉」「まるまる、フルーツ」等々10種類も出てるそうです。なんて楽しい企画。 古今東西31人の著名な作家の短いエッセイ集ですが、書下ろしは1つもなさそう。よく探…
さっき読んだ「猫を棄てる」もだけど、短い作品に素晴らしいイラストをたっぷり加えて薄い本にしてくれるのって嬉しい。映画化ともアニメ化とも漫画化とも違って、中心にあるのは文字なんだけど、ときどき見る刺激的で美しいイラストがピリッとイマジネーシ…
村上春樹のまだ読んでない本がけっこうあると気づいたので、順次読み進めてみる。 猫と暮らしてる私にはショッキングなタイトルだけど、どきどきしながら読んだら棄てた猫は自分たちより先に帰宅して待ってた、というオチがあって安心しました。というか猫を…
「彼岸花が咲く島」を読んだあと、さかのぼって他の単行本も全部読んだ後、満を持して受賞後第一作を読了。 改めて、この人は現代日本随一の言語能力を持つ人だなと思う。昔の本を読めば、文豪と呼ばれる人も、希代の評論家も、まずその言語に驚くことがある…
一度読んでみようと思ってた本。書かれたのは1937年、昭和22年。第二次大戦前夜の日本で、児童文学者である著者が少年少女たちに強く働きかけたかったことが熱く、かつ静かに語られた、美しい本です。昔の映画みたいな真剣な倫理観が、戦前ではなく戦後の作…
この間見た映画「勝手にふるえてろ」がとても面白かったので、映画「ひらいて」も見ようと思ってるけど、図書館で見かけたので今度は原作を先に読んでみました。 重い…衝撃波が…破壊力が…。相変わらずすごいわ、この作家。シチュエーションは、黒いけど現実…
去年の11月に読んだ「すぐそばにある『貧困学』」の新書版でしたね。手に取ってから気づいたけど、大西さんの高校生の頃から「もやい」初期に至るエピソードが中心なので、内容が古くなっていないし、コラムで引用している統計データは更新されています。単…
未読の村田喜代子の本が溜まってきたので読んでる。 このシリーズは最初のを読んだ気がしてるけど、ブログは書いてなかった。2番目を飛ばして3番目のこれを読んだみたいだ。 で、これが捧腹絶倒の面白さだった。私は芸術作品を自分勝手に楽しむのが好きだし…
この本を読もうと思ったのは1年近く前かな。その間にだいぶ”意識高さ”が減ってきてるので、自分の将来に役立てようというより、ある卓越した企業のあり方として読んでる。 創業者が構築してきた強烈な企業文化は、最終章でアメリカ以外の国に拡張するのにか…
「資産運用大全」はとても難しい本だけど金融の仕組みを解説していて、こっちはぐっと平易に誰でもわかる感じで具体的な金融商品の投資のアドバイスをしている本。がんばってあっちを先に読んで、こっちをその後のQ&A編として読んでも良いかもしれないし、1…