アンソロジー「街は謎でいっぱい」767冊目

気軽に楽しく読めそうなミステリーのアンソロジーかなと思って借りてみました。ショートショートではなくて、ちゃんと読み応えのある中編5本で、本を5冊読んだくらいの読後感がありますね。

大石直紀「京都一乗寺 追憶の道」

ロマンチックなファンタジー的ミステリ。若干、文章が読みづらいけど、抒情が伝わってきてしんみりしました。

岡田秀文「なごりの街」

これもファンタジーなんだけど、ちょっとやりきれん読後感。でもいい具合に予想を裏切られました。

新井政彦「手紙」

似たようなプロットで、もっとみんな不幸になる小説を読んだことがある。これはすごく美しい絵画的なエンディングで、感動的でした。

望月諒子「外れの家」

なにをコンプレックスに思うかは、ほかのひとから見れば馬鹿げて見えることもある。ありえない!と言い切ってしまうほうが楽だけど、明日は我が身かも?

嶺里俊介「夢の轍」

タイトルは歴史小説かなにかみたいだけど、三鷹駅南口の大きくて年季の入ったマンションが舞台で、情景がそのまま目に浮かびました…昔しばらくその辺に住んでたので。北口を出てしばらく行ったところにNTTの研究所もあるしね。著者は元NTTだそうで、知り合いに直接聞いた実話みたいにリアルで面白かったです。