本)文学、文芸全般

村田喜代子「縦横無尽の文章レッスン」708冊目

この本のパート1ともいえる「名文を書かない文章講座」はだいぶ前に買って持っている。村田喜代子は文章の達人のなかでも、子どものように感じて大人のように考える、感性と技術の両方がすごい人だと私は思っているので、この人の文章講座は読む価値が高い!…

柴田元幸・高橋源一郎「小説の読み方、書き方、訳し方」707冊目

何でも読んで何でも書く高橋源一郎と、何でも読んで訳す柴田元幸が、表題について自由に語り合った本。私の読んだことのない本や、聞いたこともない作家の話が多くて、いいとも悪いともなんとも言えないのですが、高橋氏が絶賛する柴田氏の訳書、ブコウスキ…

西條奈加「心淋し川」704冊目

こころさびしがわ、じゃなくて、うらさびしがわ、って読むの?(表紙を見ながら) 江戸のうらぶれた下町の片隅に、貧しくつつましく暮らす人たちの群像劇です。なんとなく、目新しさはなくて、前に他の人の書いた似た小説を呼んだような気もするけど、落ち着…

カズオ・イシグロ「クララとお日さま」695冊目

カズオ・イシグロ買って読んだの初めてかも。映画があれば先に見ちゃうし…。今までに本で読んだのは「遠い山なみの光」と「忘れられた巨人」だけ。映画で「わたしを離さないで」「日の名残り」「上海の伯爵夫人」。じつに丁寧に作られたすばらしい映画で、言…

宇佐美りん「推し、燃ゆ」690冊目

直近の芥川賞受賞作品。図書館で500人待ちの末やっと手元に届きました。 まず、この本は抜群に面白かった。アイドルって言葉は今はもう使われないのね。「推し」のことを名前で呼ぶことも少なくて、ファン本人も「推し」と呼び合っている。自分の「推し」に…

村田喜代子「人の樹」688冊目

敬愛する村田喜代子の本、しばらく追っかけていなかったうちにたくさん出版されてました。順次、読んでいきます。 この本は、かなり異色。タイトル通りともいえるのですが、1つ1つの短編で、樹木を人格のあるもののように描いています。たとえば「あたしは…

モハメド・オマル・アブディン「わが盲想」687冊目

高野秀行の本をたくさん読んでたら、この人のことが出てきて、興味がわいたので読んでみました。スーダンの視覚障碍者で、日本の鍼灸学校に留学してきた後、コンピューターや政治を学んで、東京外大の助教になったらしい。長年学生でい続けたことのうしろめ…

ホルヘ・ルイス・ボルヘス「伝奇集」681冊目

ベルトリッチ監督「暗殺のオペラ」を見たんですよ。で、原作も読んでみたくなって借りてみたわけ。この本でボルヘスは、書かれなかった本のあらすじだけを語るっていう体裁で、いろんな物語を語ります。その手法は、ズルいくらい読みたい心をそそる、読む人…

工藤吉生「世界で一番すばらしい俺」678冊目

Twitterでどこかからこの著者の言葉が流れてきてちょっと驚愕&ドン引きして、気になってフォローして、歌集を読んでみなければと思って借りてきました。 著者の想像どおり「あとがき」から読む。どういう人なのか知りたい(下世話な好奇心)。 読むのがちょ…

西日本新聞「九州の100冊」676冊目

私が好きな作家として挙げる村田喜代子、佐藤正午、松下竜一という3人は全員九州の人だ。なかでも松下竜一は西日本新聞の短歌の投稿欄で頭角を現した人なので、きっと彼のことが書いてあるに違いないと思って借りてみたら、案の定取り上げられていました、3…

J.T.リロイ「サラ、いつわりの祈り」668冊目

これが「J.T.リロイ」名義での2冊目。時系列的にはこっちがずっと先で、4歳のジェレマイアが里親から娼婦の実母サラのところに戻され、福祉の人が聞いたらただでは済まないような逆境の中でゆがみながら育っていく様子がつづられています。 これってちょっと…

J.T.リロイ「サラ、神に背いた少年」667冊目

VODで「作家、本当のJ.T.リロイ」を見たら読みたくなってしまった。これを書いて、JTリロイのマネージャーとして世に出たローラ・アルバートという女性は、虚言癖なのか多重人格なのかわからないけど、人を騙して儲けようという意図でやったのではなさそうだ…

チャールズ・ブコウスキー「パルプ」661冊目

なんてデタラメで痛快で面白いんでしょう。彼の作品の擁護者と批判者は、はっきり二分されるんだそうですが、擁護者のなかに「千年の愉楽」の中上健次がいて「なるほど」と思ってしまいました。 私はマジメで几帳面なところのある人間だけど、彼らの魅力が理…

松下竜一「底ぬけビンボー暮らし」660冊目

敬愛する松下竜一の本、「ルイズ」とか「砦に拠る」以降読んでなかったので読み直し始めています。比較的新しいものも読んでみよう、かつ、会社を辞めて収入が激減したので「ビンボー」に敏感に反応した、というのもあります。(というか、今わたしは大節約…

松下竜一「豆腐屋の四季」656冊目

「いつか読書する日」という映画を最近見ました。田中裕子演じる独身の50歳の女性は、一人暮らしで牛乳配達とスーパーのレジ打ち、2つの仕事をかけもちして暮らしています。夜明け前に自転車で街を回って牛乳を配達していくその人の姿が、けなげで真っすぐで…

森瑤子「アイランド」654冊目

与論島に行ったときのことを思い出して読んでみる。この本はガイドブックで紹介されてたし、森瑤子は与論に別荘をもち、地元の人とも親しくしていて、今はエーゲ海ふうのタイル貼りの素敵なお墓となって与論にいつづけています。 私は同時代としては、彼女の…

三島由紀夫「美しい星」651冊目

珍しくSFめいた作品。星新一の本の題名にありそうな。 しかし登場人物は、何かの強迫観念的イデオロギーを抱いてしまった潔癖症の人々という意味では、三島由紀夫のあらゆる小説と共通しています。 自分の本質が金星や木星から来た宇宙人で、地球人の身体を…

三島由紀夫「天人五衰(豊饒の海4)」649冊目

<ネタバレあり> 私が望んだ結末は、良しあしとか価値評価はさておき、輪廻転生が終わったのかどうかは明確にしたかった。ジン・ジャンに双子の姉妹がいたなんて一言も誰も言ってなかったんだから、慶子が再会したのが輪廻を終えた後生き延びた彼女自身だっ…

三島由紀夫「暁の寺(豊饒の海3)」648冊目

4部作のうち一番長い「奔馬」を克服した後は、だいぶ気が楽。「奔馬」は長さだけでなく神風的な”純粋”、”正義”の重厚さで読んでる者がエネルギーを吸い取られるんじゃないかという迫力があったけど、タイやインドを漫遊する「暁の寺」は少しは楽に読めます。…

三島由紀夫「奔馬(豊饒の海2)」647冊目

すごいなぁ、すごすぎる。「豊饒の海」1もすごかったけど、こっちも大変な大名作だった(語彙まずしいなぁ私)。命がけの天才ってこれほどのものなのか。壮大な構想、四部作の少なくとも前半2作の設定の時代性と普遍性、緻密に設定された人物像たち、微に入…

三島由紀夫「春の雪(豊饒の海1)」645冊目

「アンナ・カレーニナ」みたいなお、人間の深い業のお話だった。虚飾と愛欲といろんなドロドロなものが渦巻いてるいやな世界。でも、ああ、そうか、歴史小説を読むのも嫌いだし、周囲の人たちのゴシップを言うのも聞くのも私は昔から嫌いで、そのために同性…

チャールズ・ブコウスキー「死をポケットに入れて」644冊目

ブコウスキーのドキュメンタリー映画をたまたま流れで見たら、酔っぱらいで競馬好きだけど、どうもこの人は好きかもしれないと思ったので、作品を読んでみました。詩人で小説家でもあるけど、これは日記というか日々のエッセイです。 やっぱりなんか好きだわ…

三島由紀夫「午後の曳航」643冊目

Eテレでやってた「今夜はトコトン“三島由紀夫”」で、出演者が推した作品を何冊か読もうと思ってます。一時期、彼の”通俗小説”を何冊か読んだことがあったけど、これは初めて。主人公は13歳、まだ子どもに見える、変声期も迎えていない男の子だけど、三島由紀…

恩田陸「祝祭と予感」642冊目

「蜜蜂と遠雷」を読んだのが3年前、映画を見たのが2年前なので、だいぶ時間が経っちゃいました。発売後すぐ図書館に予約を入れて、やっと昨日届いたというわけです。私のあとさらに136人がお待ちかねなので、一晩で読んでしまいました。今日さっそく返そうと…

ラビンドラナート・タゴール「ギタンジャリ」641冊目

「あるヨギの自伝」に出てきた、宗教家・詩人でノーベル文学賞の受賞者、タゴールの作品。詩人で宗教家ってどういうことだろうと思ったら、この本はすべて彼の神への思いをつづった愛の詩集でした。 人間ってたいがい、救われたい、愛されたい、と強く思う一…

崔実「pray human」640冊目

前に「ジニのパズル」を読んでとてつもなく切ない気持ちになったなぁ。これは彼女の次の作品であり最新作。読んでてすごく辛くなるんじゃないかなと思いながら読み始めて、最初のほうはけっこうチクチクしてたんだけど、まず、すごく面白かったと言いたい。…

森博嗣「トーマの心臓」629冊目

先に萩尾望都のまんがを読んで、こっちも読んでみることにしました。森博嗣がノベライズ?したもの。 読み始めてみたら、けっこう小説と違う。トーマのほんとうの死因はなかなか明かされない。ユーリとエーリクが出会うのは墓地ではなくて公園。出かけた先で…

佐藤正午「小説の読み書き」628冊目

佐藤正午の本は全部読んでるし持ってる上に、ときどき読み返す。そんな作家はこの人しかいないのだ。なるべく全部読む作家は他にもいるけど、借りるか、買ってもすぐ売るので手元に残らない。というわけで佐藤正午の本はいつでも読み返せる。 1章毎に1人の…

萩尾望都「恐るべき子どもたち」622冊目

続いて読んだのがこれ。映画を見たつもりだったけど見てませんでした。漫画は漫画家の理想をそのまま 絵にできるので、現実離れした他人の空似や、キャラクターを完璧に画像化することもできるけど、映画には役者自身や役者どうし、その場のマジックがあるか…

萩尾望都「11人いる!」621冊目

Eテレの「100分de名著」恒例の年末年始特番で「100分de萩尾望都」という番組をやっててたのを見て、読みたくなって借りてきました。 私も小さい頃から、日本の少女として正しく少女マンガを読みふけったものでしたが、萩尾望都作品は(む、むずかしい…わから…