JASRACと音楽教室の間のトラブルを元にした小説。だけど全然社会派ではなくて、音楽教室にスパイに行かされたその団体の内向的な職員が、音楽を取り戻し、自分の生きる道に気づくという人間ドラマとして書かれています。
その職員の長身でイケメンで無口で音楽の才能豊かなキャラクターに惹かれるし、音楽教室の反骨精神と人間味あふれる教師や、気のいい仲間たちのこともだんだん好きになる。人間小説として面白いけど、「団体」の描き方はちょっとショッカーみたいじゃない?
その団体がなければ、私が100回カラオケで歌っても、国内外の作詞家も作曲家も使用料を配分できないので(注)、必要悪というより必要な団体がどうあるべきか、今のあり方はよくないんじゃないか、というのが論点のはずなんだよな。単純な二元論って仮想敵の悪口を言うときは楽しいけどね。(注:人が手でお金を集めて計算して配らなければならない時代ではないので、すごいシステムとネットがあれば、今なら団体の手間とか職員数とかは10分の一くらいには減らせたりしないかしら。)
これドラマ化されそうだなぁ。主役は誰がいいかな、町田啓太とか・・・?