小川哲「地図と拳」971冊目

大河ドラマだった~~。

満州国っていう、日本の中枢にいた昔の人が勝手に夢みた国の歴史をたぐり、こんなことやあんなことがあったんじゃないかと想像して書かれた物語だった。

数々の窮地を逃れてきた主人公が、ふいに没する場面がちょくちょくある。年代で区切られた章ごとに主人公が交代し、いなくなった誰かの場所を埋める若い人物が現れる。”推し”になれそうな人物が何人もいるから、長丁場の連続ドラマや映画に向いてると思う。

戦争や国益といった大きなものを念頭に置いていても、常に目の前にあることでその時の判断を下すんだよな、人間は。

実際にそこにいた人が共感するのかどうか全然わからないけど、初めて満州ってところのイメージを持てた気がします。

書くのにすごいエネルギーが要ったと思うけど(地図の作成や、地図にない島が書かれたいきさつの調査のように)、読むほうも魂を持ってかれる大作でした。