本)ミステリー
坂口安吾は「堕落論」の人、という印象が強かったけど、日本屈指のミステリーを書いていた!という話を聞いて、ワクワクしながら読みました。 戦後すぐの日本の文壇は、こんなに乱れていたのか・・・?と思うほど、異常に入り乱れた愛憎関係。それがとある山…
面白かった・・・どれも面白かったのに、頭から最後まで読み終えた今、「ぬえの密室」のことで頭がいっぱいになっている。他の小説のことは全部抜け落ちてしまった。この本当っぽい短編、すべて実在する登場人物たち、いったいこの短編(のアイデア)は存在…
この本って・・・本物の暖炉がある、昔ながらの居心地のいいホテルの談話室みたいだ。ホテルの経営者と職員とで長年丁寧にメンテしてきて、そういうのが好きなお客さんしか来ない。そこに集う人たちには暗黙の了解があって、ずっと守られている暖かい親密さ…
読ませるね~~、さすが「このミス」1位。 リアリティとか考える隙を与えず、とにかく先を急がせる。夕方から夜中にかけて一気に読み上げてしまいました。爆弾の詳細や設置方法を饒舌に語ったりしないところがいいんじゃないかな。最近のエンタメ小説は科学…
内藤陳の「読まずに死ねるか!」を読んだら、冒険小説を愛するか彼が新宿ゴールデン街の自分の店の名前にまでした名作を読まずに死ねないと思って、読んでみました。 感想は、「かなり意外」。冒険小説って私のイメージは、車で移動するなら全速力のカーチェ…
この作家は、”しつらえ”を作るのがうまいなぁ。ワクワクしながら読み始めて、わずかずつ明かされる謎にドキドキする。この作品に関しては、何重にも重なる複雑な構造があるわけではないのと、映像化しやすいイメージが続くので、テレビのスペシャルドラマみ…
映画ばかり見てると、本を一冊読み切るのってエネルギーとか知力が必要だなと感じる。この本も文庫本で500ページ超。 とても面白かったし、登場人物ひとりひとりに肩入れしたくなる深い造形も、不幸で不運だけど力強く歩いていく姿勢も、とても読み応えがあ…
ロンドン・アイができたり、テムズ川岸が再開発されてオシャレな街になった後はほとんど見てない。「テート・モダン」しか知らない・・・。1992年にロンドンのアールズ・コート近くに滞在してたとき、あの駅のどっちを出れば展示場に出られるのか迷ったのを…
これは面白かった! ツカミが最高ですよね。シャーロック・ホームズものは最近かずかずのリメイクが行われていますが、辮髪は初めてです。 という引きが強くてさっそくページをめくってみると、「序」に昔の中国っぽい意味不明な漢語が並んでいます。くじけ…
面白かった。翻訳もいいんだろうけど、ぐいぐい読ませる、確かな筆力のある作家だなと思います。 でもね、わたしは猟奇殺人は好かんのですよ・・・この本も、のっけから不必要に残酷な殺人があり、それに根拠を与える積年の恨みつらみが徐々に提示される、と…
原題は「A Song for the Dying」、死にゆくものへの歌。一方の邦題はバイオレンスアクションって感じがするけど、内容は原題とも邦題とも違って、クライムサスペンスだった。ただ、警官が悪いヤツや乱暴なヤツばかりで、スコットランドではそうなんだろうか…
前作につづいてこちらも読んでみました。 1作目は、二人の主役のバックグラウンドを読むのが楽しかったけど、2作目の前半は説明が必要以上に詳しく感じられてちょっと飛ばしたくなってしまった・・・でも、ストーリーがぐいぐい動き始めてからは引き込まれて…
知り合いが読んでいたので、初めてこの作家の小説を読んでみる。 ミステリーというより警察小説かな? 手練れだなぁ。まったく無理のない、流れの良い文章、ストーリー運び。ここまで”引っ掛かり”のない小説も珍しいくらい、面白くするする読める。しかも書…
今回も面白かった。 思うに、①「ミステリーinミステリー」という仕掛けを楽しむための作品だということと、②アラン・コンウェイ作ミステリーにはアナグラム等の言葉遊びが大量に隠されている前提であること がポイントの小説なので、純粋にその部分を楽しむ…
先にこの著者の「蒼海館の殺人」を読んだら、スムーズではないけどとっても面白かったので、評判のデビュー作をさかのぼって読んでみました。 これもすごく面白かった。過去の荒唐無稽ミステリーにリスペクトをささげつつ、さらにさらに無茶に無茶を重ねた設…
予想外に面白かった。最近、できのいいミステリーを読んでも、トリックの矛盾のなさ(なさです、なさ)ばかりが気になってしまうことが多くて、素直に楽しく読めてなかった気がする。文章はどこか堅くてちょっと読みにくい。動機は謎だけど、犯人像はよく描…
「カササギ殺人事件」に続いて、この著者のミステリーを読むのは2回め。 面白かったけど、まぁ作為が多くて作りこんであって、頭が忙しかったです。著者と同じ名前・同じ設定の語り部(”ワトソン君”)が、変な思い込みをしたり間違った推理をしたりして、捜…
久々に山口雅也作品を読んでみました。江戸を舞台にした時代(倒錯)ものミステリーです。 ずっと読み続けてるわけじゃないので、小ネタにわからないものが多くて、笑えたり笑えなかったりですが、楽しい短編集でした。それにしてもこの人の作品は小ネタが多…
タイトルが気になって読んでみることにしました。原題は「Swamp Sniper」ですって。舞台はアメリカの沼地の小さな町なのでswamp、そこになぜかCIAのスパイがやってきたのでsniperか。日本の題名のほうが引きが強いし、最近の日本の”ちょっと目先を変えたエン…
満足。お腹いっぱい。アガサ・クリスティを読み始めた頃みたいな気分。 「本格ミステリ」ってどういうものなのかよくわからないけど、トリックだけが完璧で動機に全然共感できない作品ほど、「本格ミステリ」って言葉にこだわってる気がする。クリスティの作…
ミステリーじゃないシリーズがあったのか…。何も知らずに読んでしまったら”解決編”がなかった。先日読んだ「冷たい密室と博士たち」は、冒頭に現場の見取り図が載ってるいわゆる”本格ミステリ”だったので、頭を働かせる覚悟で読んでしまって肩透かしになって…
オバマ元大統領の「夏の読書リスト」にあった一冊らしい。オバマさんもだしビル・ゲイツの同じようなリストもチェックはするけど、読みたい本が不思議となくて、これがその手のなかで初めてくらいじゃないかな。(いやクリントンの書いたミステリーはこの手…
6篇の中編ミステリーからなるアンソロジー。 海野碧「向こう岸の家」 実家に戻ってきた女性に、小さいころの記憶がよみがえってくる…。ひきこまれる設定だけど、「小さいころに亡くなった彼女の兄」という設定が伏線だと思い込んで引きずってしまった。 両角…
気軽に楽しく読めそうなミステリーのアンソロジーかなと思って借りてみました。ショートショートではなくて、ちゃんと読み応えのある中編5本で、本を5冊読んだくらいの読後感がありますね。 大石直紀「京都一乗寺 追憶の道」 ロマンチックなファンタジー的…
森博嗣って比較的新しい作家さんだと思ってた(「すべてがFになる」を読んだのを覚えてる)けど、この2作目が書かれたのは1996年。だからまだ誰もケータイ持ってなくてUNIXでメールを使いこなせるのがサバイバルだったりします。データの運搬は今は亡きフロ…
こういう本大好き。秋の夜長に、こたつみかんでも、コーヒーチョコレート猫でもいいから、最高にリラックスして夜更かしして、楽しみたい時間です。 市川憂人、米澤穂信、東川篤哉、麻耶雄嵩、法月綸太郎、白井智之+の6人が、ガッツリ”Whodunnit”(犯人は誰…
すごく面白かった。「紙鑑定士」「伝説のプロモデラー」という、マニア心をくすぐるプロフェッショナルたちのオタクトークに”ふむふむ、ニヤリ”、「えっ」というようなエピソードの連続。だけど、文章がこなれていて読みやすい。登場人物たちが、美形であっ…
新刊リストを眺めていたらこの本を見つけて、タイトルと表紙に惹かれて読んでみました。第二次大戦直後のロンドンの、廃墟の中に残ったビルの4階で”ロンドンで2つめの”結婚相談所を始めた若くて美しい二人の女性。一人は元スパイで、もう一人は夫を戦争で…
あー面白かったー! 本を読んだだけなのに、まるで自分がその世紀の証明にずっと立ち会ってきたみたいに、祝杯を上げたくなっている。ロールプレイングゲームで、アンドリュー・ワイルズと数名の最後まで協力した勇者(数学者)たちと一緒にチームを組んで、…
早川書房が創立70周年を記念して、過去の「SFマガジン」と「ミステリマガジン」に掲載された、古今東西の偉大なるまんが家の短編と、このために書き下ろしたものをまとめた作品集。手塚治虫に松本零士に石森章太郎に萩尾望都、吾妻ひでおにとりみき…もう、す…