2024-01-01から1年間の記事一覧

鶴長鎮一「Web技術がこれ一冊でしっかりわかる教科書」1066冊目

もうITに関わる仕事をすることはないと思ってたけど、ちょっと関係がでてきそうなので、15年も前に後にしたこの業界のことを今いっしょうけんめい思い出そうとしています。で、まずはこの本。 この業界でまた働こう!という必要がないので、気楽にぱらぱらと…

水見はがね「朝からブルマンの男」1065冊目

Audibleで推してたので聞いてみました。面白かった。 ある喫茶店で、開店とともに入ってきて毎週ブルマン=ブルーマウンテン、どこの店でも一番、とんでもなく高価なコーヒーの銘柄を注文する男がいる。なのに、毎回貴重なブルマンを一口飲んだだけで残す。…

大井優子「世界恐怖旅行」1064冊目

タイトルだけ見て、ひげもじゃの男が麻薬地帯やギャング街をめぐるのかと思ったら、若い女性がバックパックひとつで世界を旅してまわる旅行記でした。とても面白かったです。でもずっとモヤモヤする・・・ 私が一人で海外を旅行するようになったのは中年以降…

伊坂幸太郎「PK」1063冊目

この人の「フィッシュストーリー」がとても好きで(映画しか見てません、すみません)、この小説はそれを思わせるタイムリープものだと聞いてわくわくしながら読みました。 最近他の作家の小説をたくさん読んでるけど、久々の伊坂幸太郎、やっぱり面白い。な…

道尾秀介「N」1062冊目

どこから読んでもいい小説、と評判になっているというので読んでみました。1つ1つの短編が面白い。それぞれが関係しあっていて、同じ人が出て来たり前後関係があったり。しかしじっくり各短篇を読んでしまうと、つながりを気にせず味わってしまう。これは…

カレー沢薫「ひきこもり処世術」1061冊目

この人のマンガは「クレムリン」の第一回が雑誌に載ったのを見て衝撃を受けて以来、ずっとちょいちょい読んでる。マンガも面白いけど文章も面白い。この本についてだけいうと、連載なので毎回最初のほうに、自分が長年のひきこもりであることや、その当時の…

麻布競馬場「令和元年の人生ゲーム」1060冊目

こう見えて(どう見えて?)私は、ビジネススクールとやらを卒業している。かなりドメスティックな学校だったとはいえ、そこではカタカナ用語でビジネスを分析すれば成功するかのような会話が行われていたものでした。それが20年近く前だ。その後、外資系企…

彬子女王「赤と青のガウン」1059冊目

これもAudible。どこをとってもすっごく面白かった。が、疲れていると心地よくて寝落ちする。全部ちゃんと聴きたいけど、どこまで聴いたか定かではない。…何度か巻き戻したけど、聴き洩らした箇所はあるかもしれません。すみません。。。」 この方は、観察力…

村田沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」1058冊目

村田沙耶香ワールド。いつも彼女の書くものの主人公は、”スクールカースト”に見放されたあと、一周回って開き直った強くて鋭い女だ。この小説ではその前日譚が語られてる、みたいな感じ。まだ変な女デビューしていなかった頃の彼女。…であり、これは、もしか…

S.A.コスビー「頬に哀しみを刻め」1057冊目

元犯罪者の黒人と白人男性の息子たちが殺害された。息子たちはゲイの夫婦だった。それを受け入れられないままだった父たちは慟哭し、長年押さえつけていた犯罪の衝動を解き放ってしまう。 そうなるとアメリカでは銃や弾丸を手に入れることが容易で、殺人事件…

一穂ミチ「ツミデミック」1056冊目

Audibleに入荷したので早速聴きました。 コロナ禍の人々の暗い気持ちが散りばめられた短篇集。こっちの方が「スモールワールズ」より罪が深いというか、重いものが多い感触で、途中ちょっと緊張しました。 「違う羽根の鳥」似たような若い女の子が二人写った…

一穂ミチ「スモールワールズ」1095冊目

これもAudibleで。 面白かったわぁ。この著者が「あの本、読みました?」に出ていたとき(一部顔隠し)、この本の話題が出て、決して幸せではない、むしろ悲惨な背景をもつ人たちの物語なのに、読後感があたたかい、というようなことを読んだ人たちが話して…

エドワード・ブルック=ヒッチング「愛書狂の本棚」1094冊目

大判オールカラーの豪華です。ナショナル・ジオグラフィックが発行元。(自然ばっかり扱ってるわけじゃなかったんだ)「大レア本展」を開催したら扱われるだろうと思われる珍しい本の集大成図鑑。楽しいです。 日本の本もたくさん載ってます。ガチャで買える…

ヴィクトリア・べラム「雄鶏の家:ウクライナのある家族の回想録」1093冊目

これは紙の書籍で。2024年8月に発売されたばかりの新刊です。 ウクライナから来た女性に日本語を教えたこともあって、彼女から聞いたウクライナ関係の本を読んだこともあったけど、この本はおねだんが3600円、300ページ以上あるし、争いの歴史について書かれ…

中野信子「新版 科学がつきとめた運のいい人」1092冊目

これもAudible。聞くのにかかる時間が比較的短そうだったので、すきま時間にちょろちょろ聞いたのですが、なかなか納得感のある内容でしたよ。見出しだけ見ると、よい人間になるためのなにかの宗教上の教えみたいな感じ。正しい人であれ、無駄なく努力し周囲…

片岡義男「英語で日本語を考える 単語篇」1091冊目

この本には「英語で日本語を考える」本編があって、これは続編のようです。これは初版2001年で本編は2000年発売なんだけど、その本編のほうだけ 2024年8月に再発売されています。そっちを読みたいなと思っていたら、これを見つけたので先に読んでみました。 …

朝比奈秋「サンショウウオの四十九日」1090冊目

これは紙で読みました。単行本ではなく、新潮の2024年5月号。 これ読んで、同じ芥川賞を受賞したばかりの「ハンチバック」を思い出す人は多いんじゃないかな。私は「すこしちがう人」への関心が強いほうだと思うので、両方とも食い入るように読みましたが、…

伊藤計劃「ハーモニー」1089冊目

「虐殺器官」を読んでから3年。やっとこれも読み…じゃなくて聴きました。 これが面白いんですよ、主な登場人物は少女たちなのにナレーターは男性。最初は男性のキャラクターかなと思うけど、ちゃんと聞いていれば女の子たちだとわかります。それにしてもなぜ…

森本萌乃「あすは起業日!」1088冊目

これもAudible。紙で読むつもりでリストに入れてたのを、見たらAudibleにあったので聞いてみました。これもAudibleに向いてるコンテンツだと思います。若い女性が書いた半フィクションくらいの小説を、主人公・著者のような若い女性(たぶん)が読むのは、リ…

鳥飼否宇「死と砂時計」1087冊目

これもどこかで推薦されてた本。架空の砂漠の国の、死刑判決を受けた人だけを収監した刑務所を舞台としたミステリーです。連作集の形をとっています。 もれなく死が待っているというシチュエーションで、場所や時間、道具立てには相当の制限があるのに、かな…

麻月りお「イケメン王子がいる水没寸前の王国で、日本語を教えることになりました!」1086冊目

日本語教師の方が書かれたとのことで、読んでみました。面白かった(笑) ベタといえばベタな、”ふつうの私が王子様と”ストーリーだけど、水没寸前の遠い島国からのイケメン王子ってのが、なさそうでありそうで、なんとなく危機感を持って読んでしまうし、い…

宮島未奈「成瀬は信じた道をいく」1085冊目

つづいてこちらもAudibleで。成瀬は高校を卒業し、当然のように京都大学に通っています。女子大生となった彼女は「観光大使」になり、小学生の弟子を持ち、けん玉でテレビに出演し、「ゼゼカラ」の相方と再会。今回もあきれるほど予想外な規模の大冒険を真顔…

宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」1084冊目

これもAudibleで。これはすっごく面白かったです。ナレーターが一人で語っているのに、成瀬とその親友 島崎、同級生の大貫や、成瀬に惚れる西浦少年とその友人 中橋。といった登場人物の口調や声音が明確に聴き分けられて、それぞれの人物像が生き生きと聞こ…

雨穴「変な家2」1083冊目

間取り図を見ながら読むしかないこういう本まで、Audibleで聴けるのか!?という実験。 結果:図はPDFで添付されてるので、それを見ながら聴けば問題ナシ。 ただし、PDFは図だけを集めたものなので、文字と図を順を追って見ながら謎を解明していく紙の書籍と…

九段理江「東京同情塔」1082冊目

これもAudibleで聴きました。今度は…何度も、気づいたら爆睡してました。こういう、だらっと聞けない、密度の高い文章で書かれたもののほうが、集中を保つのが難しいんだ。言い訳だけど。もしかしたら、漢字で書かれたほうが、どの熟語なのかがわかりやすい…

若林正恭「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」1081冊目

この本もどこかで紹介されてたから「読みたい本リスト」に入れてたんだろうな。あのオードリーの若林氏も、コロナ前にキューバとアイスランド、+モンゴルに行ってたんだ。 私がキューバに行ったのは2017年の12月~1月。アイスランドは2019年8月。だいぶ仕事…

万城目 学「八月の御所グラウンド」1080冊目

これもAudibleで。とても面白かったです。なるほどの直木賞。駅伝を走る女の子も、野球に駆り出される男の子も、自己肯定感めっちゃ低くて共感度高いし、最初は冷淡に思えた人たちの熱い気持ちがだんだん見えてきて、世の中のあったかさに包まれるような読後…

恩田陸「Spring」1079冊目

これは紙で読みました。今回の恩田陸はバレエの世界を描いているとのこと。ピアニストのコンクールを描いた「蜜蜂と遠雷」が好きだったので期待して読みました。こちらもまた、到底小説という形で表現できると思わなかった、踊る人や振り付ける人、踊るため…

桜井美奈「殺した夫が帰ってきました」1078冊目

これもAudibleで聴きました。せっかちなので、最大2倍速。 なるほどね。(読み終わったときの感覚) 最後の最後のトリックは、だまされたと感じる人もいるかもしれないけど、生まれてきてもまともに扱われない子どもが意外にたくさんいることは知っていたの…

酒井順子「日本エッセイ小史」1077冊目

かなり包括的に、日本の随筆・コラム・エッセイ等とよばれる文章の歴史をカバーしている本でした。なんだけど、客観的な「小史」って印象が全然ないのが不思議。 語尾の、ですます調に混じってひんぱんに現れる「~のではないか」が、私には「~のである」く…