2024-01-01から1年間の記事一覧

河﨑秋子「ともぐい」1054冊目

すごく迫力のある作品でした!獣臭い山育ちの漁師、人間らしい情を知らず獣たちに恐れられる存在。「白鯨」みたいに最後まで猟師としての人生を全うするのかと思ったら、日本は日露戦争へ突き進む時代、懇意にしてくれていた獲物の買い手は没落し、自分も熊…

斎藤幸平「ゼロからの「資本論」」1053冊目

読み始めてすぐ、なんか記憶にあると思ったら、「100分de名著」の書籍化だった。番組テキストやテキストから派生したムックって、長く書店に置かれないし、そもそも学術的な内容が多いので、新書化するのはいいアイデアだなぁ。 「資本論」は読んだことない…

出井康博「移民クライシス」1052冊目

”偽装留学生”や技能実習生が日本でさいなまれている問題について、まずこの本を読んでおけと言われて読んでみました。ほんとに、複数の問題をそれぞれ周到に取材して掘り下げた、読み応えのある本でした。ボリュームの割に中身が詰まっています。 日本語教師…

リンクアップ著「ゼロからはじめるGoogle Meet基本&便利技」1051冊目

Microsoft Teamsに続いてこの本も読んでみました。Google Meetも、「1:1以上の会議を60分以上やる場合、有料版が必要」かつ「無料版ユーザーが招待するセミナーにはGoogleアカウントからしか参加できない」そうです。(私の手元にあるこの本は2021年2月発…

小川哲「君のクイズ」1050冊目

面白かった。舞台が現代で、おもにクイズ選手権番組の1つの問題を中心にして書かれているので、わりと短い、軽い作品という印象。すくなくとも、前に読んだこの作家の作品、重厚長大な「地図と拳」のことは思い出さなかった、名前は憶えてたのに。 クイズ選…

リンクアップ著「ゼロからはじめるMicrosoft Teams基本&便利技」1049冊目

オンラインで日本語を教える際に、Facebook Messenger(ドキュメント共有が不要のとき)かZOOM(共有するとき)を使ってるのですが、それ以外によく使ってるのがGoogle Jamboard。これは主に漢字の書き方(形や書き順)を実際に描かせるときに便利なんですよ…

ハーラン・レイン「善意の仮面:聴能主義とろう文化の闘い」1048冊目

けっこう怖い本でした。耳が聞こえない、というか、音のない人々は「障がい者」なのか、という根源的な前提がグラグラになります。彼らが”障がい者”でないのなら、他の”障がい者”のなかにも”障がい者”ではない人がいるのか。視界を持たない人、下肢を持たな…

テッド・チャン「息吹」1047冊目

この人の文章は、ムダひとつないのに、密度がすごくて、読み進めるのにエネルギーが要る。スムーズに読めてわかりやすいのに、立ち止まって味わってから先に進みたくなる。寡作だから、あわてて読むのが勿体ない、という気持ちもあるかな。 コンピューターや…

村田喜代子・木下晋「存在を抱く」1046冊目

なかなか異色の対談書でした。村田喜代子は佐藤正午と並んで、この30年以上愛読している「文章の達人」。達人となるためには推敲に推敲を重ねる必要がありますが、この本は「文字起こし」そのものか?と思われるほど、言いよどみ、一ダイアログのなかの矛盾…

クシシュトフ・キェシロフスキ&クシシュトフ・ピェシェヴィチ「デカローグ」1045冊目

とっくに絶版になっていて古本価格が4000円超になってる。図書館にはあって、予約数0人でした。みんなもっと図書館行けばいいのになぁ。 映画版は「殺人(5)」と「愛(6)」の劇場版しか見てませんが、新国立劇場の舞台を今1~4まで見たところ。のこり4本…

松浦寿輝「花腐し」1044冊目

<小説と映画のネタバレがあります> 映画が印象的だったので原作も読んでみたくなりました。小説と映画はかなり違うらしいという認識で。読んでみたら、意外なところが同じで、意外なところが違ってた。 意外に同じところ:アパートの中の様子。アパートの…

パトリシア・ハイスミス「11の物語」1043冊目

映画の影響って大きいなぁ。私もこうやってこの本を読んでみたわけだし(幸田文も読んだ)、絶版になっていた本が再発売されてAmazonの「ベストセラー」になってるなんて。 「PERFECT DAYS」にちりばめられたアイテムのテイストはちぐはぐで、 石川さゆり vs…

佐藤正午「月の満ち欠け」1042冊目

<すみません、小説でなく映画のほうの結末にまでふれています。これから見る方はお読みにならないよう> 最新作「冬に子どもが生まれる」を読んだら、これを再読したくなりました。 最初に読んだときは、なんかすごくロマンチックに感じられて少しびっくり…

都築響一 編「Neverland Diner - 二度と行けないあの店で -」1041冊目

魅惑のタイトルですよね。おとぎ話の中のレストランだとしたら、ハリポタ施設の不思議な色のデザートとかありそうだし、大人向けだとしたら、村上春樹の小説の中に出てくる、あっちの世界の居心地のいいバーとかありそうだし。 でもこれはいろんな人たちが「…

佐藤正午「冬に子供が生まれる」1040冊目

Web媒体に連載中、夢中になって次回を待ちながら読んだのですが、まとまった感想を書くのは難しく、単行本を待って再読しました。 「月の満ち欠け」でとうとう直木賞をとったわけですが、今まで愛読してきた佐藤正午となんとなく”手触り”?が違うようでちょ…

ジム・ロジャーズ「2030年お金の世界地図」1039冊目

世界を自分の足で歩いて(または自分のバイクで走って)実態をよく見たうえで投資する、旅する投資家ジム・ロジャーズ。私も計算より実態観察にもとづいて大事な判断をしたいほうなので、この人の書いたものは定点観測的に読み続けています。 この新刊では、…

ブレイディみかこ「オンガクハ セイジデアル」1038冊目

この人の本は、新刊を見つけるたびに読んでます。モリッシーについて書いた本を読んだときは、彼の政治や社会に対する姿勢を自分はなんにも知らなかったことを思い知りました。この本にも何度か彼は出てくるんだけど、こうやって横断的に書かれたものを読み…

又吉直樹・ヨシタケシンスケ「その本は」1037冊目

面白い。あの又吉直樹とあのヨシタケシンスケがコラボしてる。二人とも、じわっ、クスシ、しみじみ、とくる可笑しみのある作家で、それにあの、なんともいとおしいイラストがついて、とても立派に装丁されている。中身は「その本は」で始まる、本をめぐるユ…

「須賀敦子の手紙」1036冊目

これは、最近読み漁っている須賀敦子関連書籍のうち、彼女が親しい友人夫婦に宛てて書いた個人的な手紙を集めたもの。エアメールの表書き、裏面の筆跡も含めて、なにもかもさらしています。 名前くらいしか知らない人の自宅を、いきなり覗き見しているような…

大竹昭子「須賀敦子の旅路」1035冊目

やっとここまできた。 「1万円選書」に当たってこの本が送られてきたのが2022年の1月。2年も寝かせてしまったのは、軌跡を訪ね歩くと言われても、そもそも須賀敦子を知らない。知らない人の軌跡を訪ねる本を読むなんて、ヒントなしに暗号を解こうとするよう…

須賀敦子・文、酒井駒子・絵「こうちゃん」1034冊目

須賀敦子が書いた童話がある、それを絵本にしたものが日本で出版されている、というので調べて読んでみました。絵は私の大好きな酒井駒子です。 「こうちゃん」。「こうちゃん」って誰だろう。座敷わらしだけど室内より屋外によく出没する。神出鬼没で、人の…

Max二宮「ふわっと速読で英語脳が目覚める!」1033冊目

この著者は、10年前から自分の経験や研究から独自の「英語速読」のセミナーを立ち上げていて、私もこの「英語速読」講座をちょっとだけ体験してみたことがあります。私の場合、英語はもちろん日本語の本を読むのもゆっくりな方で、以前はたくさん本を読む人…

湯川豊 編「須賀敦子エッセンス2 本、そして美しいもの」1032冊目

「エッセンス1」を読んだあと、ずっと頭のなかでこの人のことを考えていた。いったいどんな人だったんだろう。周囲の人たちから愛される可愛らしい女性だったと思うけど、自分を高くも低くも見ない、他者のことを書いてもあまり感情を出さない。独力でヨー…

井上真偽「聖女の毒杯 ‐ その可能性はすでに考えた」1031冊目

ギラッギラにラメを漉き込んだ紙が表紙に使われていて、文字が読めん(笑)! 新しい若い作家さん、かと思って読んだら(私から見れば十分若くて新しいけど)2016年発行、ということはもう8年も前。著者は年齢性別不明とのことだけど、毒婦の表現がとてもリ…

ミステリーアンソロジー「不在証明崩壊」1030冊目

忙しい時期に、「あーもう!」と一瞬仕事を投げ出して、電車の中やカフェのベンチで短時間で読めるこういう短篇集って、大好き。特にこれは最初の刊行が1996年、”イヤミス”という言葉がまだなく、弱者いじめがミステリーに登場しない、自分と同世代だと感じ…

須賀敦子「須賀敦子エッセンスⅠ」1029冊目

「一万円選書」の最後の一冊、読み終えられずに持っている本が、この著者のイタリアの軌跡を別の女性がたどる本で、どうもおおもとの須賀敦子を読まないと落ち着かないので、先に目についた一冊を読んでみました。 すごく胸にくる、なんともいえない素晴らし…

竹本健治「涙香迷宮」1028冊目

これは面白かったわ~。 著者の知的体力というか胆力というか、「そこまでしなくても」というほどトリックにトリックを積み上げていて、すごいです。それほど昔の本ではない割に、なんとな~く女性の描き方がステレオタイプだったり、昭和の香りがただよって…

幸田文「木」1027冊目

これは、神社で木の芽をもらってきて大切に育てる「平山」が読みそうな本だな。(久々に会った妹と去り際にハグしたり、カセットテープでルー・リードを聴くのは、平山に憑依したヴェンダース監督だとおもう)私は植物はサボテンでも枯らすけど生き物はザリ…

ブレイディみかこ「RESPECT リスペクト」1026冊目

昔の女性アナキストについて学び、懐かしみ、憧れつつ、現代に生きる女性がアナキストとして立つ・・・という建付けは、他の小説と同様。こんどはサフラジェットと、ロンドンのシングルマザー用施設を追われた若い母たちが立ち上がるさまを対比しています。…

泡坂妻夫「しあわせの書」1025冊目

面白かった。昭和62年が初版のこの文庫本。時代を感じさせる設定(まだスマホはおろか携帯もない、ネットで調べものもできない、などなど)、なんとなく楽観的な語り口。この感じ、バブル前期あたりの小説によくあった。ちょうど私もこれから東京へ行って大…