ジム・ロジャーズ「2030年お金の世界地図」1039冊目

世界を自分の足で歩いて(または自分のバイクで走って)実態をよく見たうえで投資する、旅する投資家ジム・ロジャーズ。私も計算より実態観察にもとづいて大事な判断をしたいほうなので、この人の書いたものは定点観測的に読み続けています。

この新刊では、もう「コロナ後」という言葉はほとんど使われず、ロシアとウクライナイスラエルパレスチナ、中国と台湾(とアメリカ)の現状を観察して将来を予測しています。BRICSより中国、サウジアラビアルワンダウズベキスタンベトナム、コロンビアに注目。

以前、ビジネススクールに類する学校に通ってたとき、日本のいろんな有名企業の社員が学生として来ていて、彼らを見ていると、所属企業が上り坂なのか下り坂なのか、公明正大な会社なのか逆なのか、などなど、難しい数字を読むことなくかなり明確な企業分析ができる気がしていました。どの会社に就職するかなんてくじ引きみたいなものなんだけど、そこに長くいて、その会社の経営層の顔色を見て、指示に従っていることで、否が応でもその企業のカラーを体現している部分って出てきます。(※一部の社員が不正をやったとしても他の社員に影響することはないです、そういうものは会社の文化ではないので共有されない。だから不買運動には私はだいたい反対)

この本を読みながら、日本語学校の生徒の顏を思い浮かべて納得する部分もありました。サウジアラビアルワンダ、コロンビアの生徒はいなかったのでわからないけど、多数を占める中国の学生には、優秀で協力的で性格も温厚な人が多くて、ひとことで言うと「豊かな国から来た余裕のある人たち」という印象。ウズベキスタンから来た学生は、漢字でみんな苦労しているけど、思いのほか数が多くて、こちらもやはり穏やかで素直な人がたくさんいました。ベトナムから日本に来て働いている人たちは、丁寧で優しくて努力家が多い。難しい日本語をどんどんマスターしていて、逆にベトナム語は難しくて挨拶すら覚えられない私から見て、この国が伸びないはずはないと思わせる人たちです。・・・・という風に、こんな狭い行動範囲でも、外から来るものを受け入れて一緒に長く過ごしていれば、実地調査の足もとには及ばないけど、見えてくるものが少しはあります。

この本を読んで個人的に困ったなぁと思うのは、「日本暴落」は何年も前から読んで知っているから覚悟してるけど、アメリカが本当にダメになってしまったら、私達のようなスキルのないプチ投資家はどうすればいいのか、ということ。ウズベキスタン株やコロンビア株なんて自力で選んで買えないし、買い方もわからない。しょうがないから、守りに入ってひたすら金を買い続けるべきなのか。楽天証券とかSBI証券がそういう国の株も扱ってくれないかな。(それでも選べないけど)

長生きリスクに備えるのって、ほんと面倒・・・。