本)全般・その他
今「テロ」と呼ばれている行動は、昔の日本では「テロル」と呼ばれてた。たしか。このタイトルの「テロル」は彼女たちの活動がテロルと呼ばれていた頃の呼び名なんだけど、「テロ」とするとちょっと過激に見えるので、テロルとすることで少し手に取りやすい…
なかなかの問題作じゃないかと思う。晩年急にネット右翼だけが使う特殊なスラングを使い始めた父を嫌悪した著者が、父の死後に「なぜそうなったのか」を調査するうちに、問いが「本当はそれほどのネット右翼ではなかったのではないか」「なぜそう思い込んで…
震災で東北の製紙工場が被災し、雑誌の紙のストックが印刷会社の倉庫にあと1,2ヶ月分しかない!と、取引先の出版社が紙を探して奔走してたことを覚えてます。結局、いつものクリーム色と違う真っ白な紙でその雑誌を印刷したのでしたが、その紙を使ったの…
敬愛する村田先生の美術もの、3冊目。書かれたのは2番目かな。【展開編】を読んだ1年前は、アートに食傷して「No art, no life」しか見なくなってた時期でした。その後、建築から再開し、最近は美術館にもたまには行くようになったけど、毎月上野に出かけて…
一昨年「一万円選書」に当選した際に選んでいただいた本のひとつなのですが、図書館で予約した本は急に届いてすぐに返却期限がくるので、つい優先して読んでしまい、せっかくの一万円選書はずっと本棚で待たせてしまっていました。しかもこの本は、同じ著者…
年老いたお母さまを自分が住むベトナムに連れて行って暮らすことを中心に書いた「ベトナムの風に吹かれて」を前に読んで、すごいチャレンジだと思った。私が大げさに考えすぎてただけかな?それより、前は見逃してたのかもしれないけど、この本を読んで、小…
3冊目は職場です。会社員の頃の私の机は常に散らかってました。「ぐちゃぐちゃ」ではなく、B4くらいの作業スペースの周囲を、重ねただけの書類の高い塔が取り囲んでいて、机の下は膝が入るスペースだけを空けた紙袋の海。少ない荷物、何もないデスクに憧れて…
「1」を読んだとき、「100%同意するけど、洋服のたたみ方とか引き出しの整理のしかたとか、文字だけじゃわからないなぁ」と思ったら、その辺を図解した本がちゃんと続編として出てました。1を理解した人には、片付けコンサルタントか、いなければこの本が…
最初は自閉症の人の内側の気持ちが知りたくて読んだけど、この人の文章が好きになって何冊か読んでます。反射的に人とうまくやれる人は深く考える必要がないかもしれないけど、不器用な私は、なぜうまくいかないのか考える。そんなときに、考え続ける東田さ…
「ぼくはイエローで・・」で去年この著者の本を読むまで、うっすら名前を聞いたことがあるだけで全然知りませんでした。同い年で同じころにロンドンパンクにはまったところまでは同じだけど、私の親はぎりぎり私を大学に行かせてくれて、その後の道は違って…
面白かった。一人の男の生きざまとして読み応えがありました。テレビとかで見てると、ギラギラしていて貪欲に何かを追い求めてるようで、圧がすごいちょっと怖い人みたいに思ってました。人の話はちゃんと聞いてみるものだ。本当に師匠に心酔し、落語と講談…
同じタイトルでこれがミステリーだったら、苦労を重ねて命を危険にさらしながら「空白の五マイル」の全エリアを最初に踏破した冒険者が、最後に桃源郷のような光景を目の当たりにするような絶頂感を味わって終わるのでしょう。最近気軽にミステリーも何冊か…
哲学って「いかに生きるべきか」を難しい顔で死ぬまで考え続ける学問?(違ってる気もする) この本の中で、小学生が「人はなんで死ぬか」といったテーマを好んで選ぶと書かれてるけど、私も小さいころずいぶん考えて、「人生はつぶすためのヒマである」って…
脚注や参考文献だけで全体に1/5くらいはありそうな、学術書として発表されたけれど、伝記として読むのも正しい本です。 重要なポイントは、今までの津田梅子の伝記は、梅子の側の人間が彼女を中心として調査したものだったのに対し、この本は科学史を専門…
思えば私にも、どうすれば男性に好かれるか?どうすれば素晴らしいパートナーを見つけて幸せになれるか?と考えて悩んで、相性占いに凝ったりそういう指南書を読んだりした時期があった。不幸から抜け出せない親のことで悩んで、とことん付き合ってどんどん…
2021年のお正月に放送された「100分de萩尾望都」を見て以来、彼女の作品を片っ端から読んで(あるいは読み直して)、その流れで気になっていたこの本を、今日やっと読みました。 萩尾望都の作品世界は、とても深い。情緒がきわめて繊細だと思う。一方で本人…
哲学の本のようなタイトルだけど、科学の本。太陽が地球を回っているのではなく、地球が太陽を回っている…というパラダイムシフトをはるかに超える(今の私たちにとっては、だけど)、時間は地表のほうが山頂よりゆっくり流れているという”事実”からこの本は…
冒険や納豆の本を何冊か読んでいる高野秀行氏の、今回は腰痛に関する本。冒険談にはいつもおおいに驚嘆し共感し楽しませていただいているんだけど、腰痛も共感…私も頸椎と腰椎にヘルニアがあって(脊柱側弯のせいもあるかもしれないけど)、ぎっくり腰になっ…
つげ義春の妻が書いた絵日記(故人)。村田喜代子の本に出てきたのが気になって、読んでみた。 なんとも生き生きとした絵、屈託のない文章。楽しいときとつらいときがあるので、「面白かった」という気持ちではないけど、なんとも言えず、この素直な生活感が…
一度読んでみようと思ってた本。書かれたのは1937年、昭和22年。第二次大戦前夜の日本で、児童文学者である著者が少年少女たちに強く働きかけたかったことが熱く、かつ静かに語られた、美しい本です。昔の映画みたいな真剣な倫理観が、戦前ではなく戦後の作…
すごく面白かったエッセイ集の続編。 面白い、というだけじゃなくて、居心地の悪さや切なさ、申し訳なさがオブラートにくるまれることなく、そのまま示される。本当のことが見たい・聞きたい、という欲求も、楽しみたいという欲求と並んで、誰にでもあるのだ…
ああ、いやな本だ(※書かれている事象がね)。 私はつねづね、今の日本に魔女狩りというものがあったら間違いなく焼かれている、なくてよかったと思ってるんだけど、おそらく、中野信子もヤマザキマリも焼かれるほうだと思う。目立たなく愛される、守られる…
この人の本を読んでみようと思って探したときに、あまりにも多くてすごく迷ったけどまずこの本から。とてもわかりやすく興味深く、こども食堂の趣旨や現状を紹介してくれる良い本でした。 私も勘違いしてた。こういうの興味あるな、どんなところなのかな、と…
ぐっと軽い本を読んでみる。私も常にモノ(あるいは、モノの山)に囲まれてるほうの人間で、常にやりたいことがたくさんあったり、ファッションにこだわりがないから安くて良さそうだと思うと、対して愛着もない服をどんどん買ってしまったりする。たまに、…
次に読む本を自分で選ぶと、同じ作家やジャンルばかりになりがちなので、ときどき、人が勧めるものを試してみます。 推薦者は作家が多いけど、著書を読んだことのない人も多い。ひとつひとつ、思いがこもった推薦文です。読んでみたくなった本はたくさんある…
栗城史多さんの訃報、覚えてる。それまでの準備不十分な登山のしかたや、やたらと人にアピールする感じから、もしかしたら、山で死を選ぶ覚悟だったんじゃないかと思った。いったいどんな風に生きて死んだ人なのか、いつかドキュメンタリー番組やノンフィク…
この人の本を読むと、いつもパッと目が開かれたような気がする。 私が「理解した」と思っていたことは、「自分や誰かが設定した仮説に納得したつもりになること」でしかなく、東田氏がものごとを語るときは「理性と五感でわかるまで探って出た答」をつづって…
あー面白かったー! 本を読んだだけなのに、まるで自分がその世紀の証明にずっと立ち会ってきたみたいに、祝杯を上げたくなっている。ロールプレイングゲームで、アンドリュー・ワイルズと数名の最後まで協力した勇者(数学者)たちと一緒にチームを組んで、…
1~3は2017年に一気に読んだんだけど、その後は連載も読んでいたので、既視感がすごい。連載された何かをまとめて後で読むなんて経験は、大昔の月刊少女マンガ以来じゃないかなぁ。この本に関しては、全部が全部既読というわけでもないので、読んだことが…
この人の本は本当に面白い。「地べたをはいずりまわる」とこの人は表現するけど、日本古来の意味で「地に足がついている」から面白いのだ。 ロンドンに住むことに憧れた数十年前、万が一居残ったらこんな人生があったのかもしれないといつも想像するんだけど…