高野秀行「ワセダ三畳青春記」983冊目

一日一冊、この人の本を読んでる。

これも面白かったなぁ~。のちに彼の妻となる人が彼の文章を「あなたの書く文章はすごく『粋』よ」と素敵なほめ方をしているように、この人の書くものは、どんなに汚いものを書いても不潔じゃないし、愛があるというほど大げさじゃないけど、誰も傷つけない。絶対気取らないし尾ひれをつけたり盛ったりしないのに、比喩がうまくて笑わせてくれる。私は自分が下手だからかもしれないけど、うまい人の文章を読むのが大好きなんだ。想像だけど、この人も一度書いた文章に何度も推敲を重ねる人なんじゃないかな。そうやって、気取りとか偏りとかを丁寧に直すから、こんなに読みやすくて面白くてイヤミのない文章ができるんじゃないかな。

それにしても私と同世代の彼のこの下宿はすさまじい。私んちも四畳半で風呂トイレ電話共同だったけど、女子だけだったので変な匂いもなければ怒鳴り込んでくる人もいなかった。みんな綿入れ半纏を着てたので、わざわざ私も買ってきたっけ・・・(田舎ではもうちょっと尖ったオシャレな娘だったのに)そうやってコタツで隣の部屋の子と毎晩編み物ばかりしてたあの時代が懐かしいなー。