2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

有栖川有栖「鍵のかかった男」439冊目

これは2015年に書き下ろしで発売された作品。今までで一番読みやすかった。大人らしい抑えた文体だし、”鍵のかかった男”が重層的で興味をそそられます。宝くじ当選とか事件に巻き込まれるとか抑えた文体とか、私の敬愛する佐藤正午を少し思い出しました。 ミ…

山下澄人「しんせかい」438冊目

写真を先に見たからか、ずいぶん無骨なごっついオッサンだな、文章もおっさんっぽいなと思いながら読んでたのに、ある時点で不器用な少年が書いた文章にしか見えなくなった。 このおっさんのことだから、19歳のときも”紅顔の美少年”じゃなくておっさんっぽ…

有栖川有栖「月光ゲーム」437冊目

この作家のファンではないし、与えられた謎を真剣に解くこともせずに、ただ気軽に読んでるだけなんです、すみません。でも面白かったよ。3部作の中で、これが一番小説として楽しく読めた。まだ大学生の空気が作者に濃く残ってたからか、その場にいて自分も…

京極夏彦「魍魎の匣」436冊目

読んだー!重かったー!(※物理的に)1048ページ。いやー面白かった。最初は、旧仮名遣い文が混じるし、霊能者とはなんぞやとか、魍魎とはなんぞやとか、長い長い説明が面倒な気がしたこともあったけど、どんどんはまり込んで、後半は夢中で読み進みました。…

有栖川有栖「孤島パズル」435冊目

大学生の江神探偵シリーズ第2作。先に読んでしまった「双頭の悪魔」が第3作なので、順番間違ってる。しかし「双頭の悪魔」が分厚い力作すぎて個人的にはめんどくさかったのに比べると、こちらの方がシンプルで人間関係も納得しやすかったです。いくらトリ…

佐々木譲「エトロフ発緊急電」434冊目

面白かった。単行本、二段組、400ページ弱というボリュームで、謎解きのない冒険小説です。エトロフ島に住むロシア混血女性ゆき、日系アメリカ人二世で米軍スパイとなった賢一郎、彼を追う軍人磯田、南京で中国人の恋人を日本兵に殺された牧師スレンセン…

風間一輝「男たちは北へ」433冊目

1989年に発刊された小説ですが、グラフィックデザイナーを本業として、そのほかに飲み歩き関係の記事などを雑誌に書いていた筆者が初めて書いた長編小説だそうです。表紙カバー裏の写真をみると、ウイスキーらしきグラスを手にした無頼っぽい男で、野坂昭如…

有栖川有栖「双頭の悪魔」432冊目

この人の作品を読むのは久しぶり。本格的推理小説、「フーダニット」(犯人当て)の名手。以前は結構好きだった気がするんだけど、今回はそれほどはまらなかったなぁ、「このミステリがすごい!」人気リストを見て選んだんだけど。大人になりすぎてしまった…

水原秀策「サウスポー・キラー」431冊目

ミステリーなんだけど、完全に野球小説ですね。バタバタ人が死んだり、残酷な手法だったり、どろどろの人間の醜さを描いたりする怖いミステリーが多いこの世の中で、ほっとする作品でした。 この作品も、トリックの複雑さや動機の難しさがメインではなくて、…

ジェフリー・ディーヴァー「ボーン・コレクター」429〜430冊目

文庫本とはいえ上下巻あって、なかなかのボリュームでした。最初の誘拐の場面の後、首から下が麻痺した探偵という設定が理解できるまでに結構時間がかかってしまった。なるべき事前情報を見ないで読み始めるので、こういう苦労をしてしまうんだけど、これが…

浅倉卓哉「四日間の奇蹟」428冊目

とても丁寧に書かれた小説で、優しくて細やかな人が書いたんだろうなと思った。小説のなかで起こる「奇蹟」は美しい。面白い小説だった。けど、奇蹟が発覚して以降のヒロインが泣きすぎる・・・。元々それほど生に執着していなかった女性でも、パニックに陥…