面白かった。昭和62年が初版のこの文庫本。時代を感じさせる設定(まだスマホはおろか携帯もない、ネットで調べものもできない、などなど)、なんとなく楽観的な語り口。この感じ、バブル前期あたりの小説によくあった。ちょうど私もこれから東京へ行って大学に通うぞ~と希望で胸がいっぱいになってた時代。
これを読んでみた理由は、とある最近人気の小説でこの著者についてうっすら言及してたから。パズルを解くような仕掛けが、ミステリーのコンテンツに加えてさらに楽しさを添える。これと合わせて文藝別冊の泡坂妻夫特集号も借りて、収録された「かげろう飛車」も読みましたよ。これも短いのによく寝られていて、短編小説の醍醐味があります。
私この頃もう多少はミステリーも読んでたのに、この人の作品は読んだことなかった。「ミステリマガジン」とか購読してマニアになればよかった、何もかも中途半端だった気がする。(いや、雑誌毎月買うお金も当時は余裕なかったわ)(ならその頃こそ図書館通えばよかったんじゃ)
まあとにかく、遅れても出会えてよかった。日本のミステリーのジャンルの広さ、奥の深さにまたちょこっと触れられた作品でした。