呉勝浩「爆弾」956冊目

読ませるね~~、さすが「このミス」1位。

リアリティとか考える隙を与えず、とにかく先を急がせる。夕方から夜中にかけて一気に読み上げてしまいました。爆弾の詳細や設置方法を饒舌に語ったりしないところがいいんじゃないかな。最近のエンタメ小説は科学的な突っ込みを避けるために、あっちこっちに対策をほどこして説明が長いものが多いけど、知らなければ疑うこともないわけですもんね。ぼんやりわかる程度の描き方が、うまい、と思います。

容疑者と、後半を追い詰める刑事が同じくらいキモく描かれてるのも面白い。ヒントは少しずつ、とてもわかりにくい方法で小出しにされる。さまざまなバイオレント刑事たちが、それぞれの方法でヒントを解き、ときに罠にはまりつつ、円をせばめていくように敵を追い詰めていく。方法やトリックが鋭すぎないのもいい。やたら未来的なテクノロジーを使ったり、「今まで誰も思いつかなかった方法」にこだわるより、人間の心の隙を狙った方が有効だったりする。

予定のない連休の前とかに著書を手元に用意しておきたい作家さんだなぁ。ほかのも読まなきゃ!