日曜美術館を見ていたらこの著者がマティス展で感想を述べていて、そういえばこの人の本を読んだことがないわと思ったので、読んでみました。これが2011年の芥川賞受賞作。
すっごく繊細な文章。書いている人と登場人物の感受性の強さに、自分まで神経が研ぎ澄まされてくる気がします。「きこ」と「とわ」は、現在のふたりが夢にみる、名画のように美しい夏の(あるいは一部冬)風景のなかの想像上の子どもたちなのかもしれません。彼女たちのからまりやすい髪を後ろの暗闇へ引きずり込もうとするものは何者なんだろう。片方が引きずり込まれたら、もう一人はどうなるんだろう。
起承転結が薄くて、わかったようなわからないような小説なので、私にはこれを評価するのは難しいけど、何か特徴のあるものを感じて、心に残ったことは確かです。