青山美智子「赤と青とエスキース」963冊目

これもだいぶ前に「一万円選書」で選んでいただいた本。

こんな人生があったらな・・・と想像して書かれたファンタジーだと思うけど、童話みたいに「若い二人は結ばれました、めでたしめでたし」ではなくて、紆余曲折もあり、なぜか二人は結婚せず子どもも持たないまま中年になって・・・

そういえば、同様に「一万円選書」で送られてきた本には、ほかにも中年男女の恋愛のお話があったな。(「平場の月」ですね)店長が私の年齢を見て選んでくださったのに違いない(笑)。1年半たってもまだ読み終えてないのってなんか不誠実な気がしてくる。他にも”積読”そうとう溜まってるけど、優先して読もう。

私は実年齢よりなんとなく体感年齢がだいぶ高くて・・・一人暮らしが本当に長くて、半隠居してることもあってほぼ定年退職後の気分なので、同年代のおじいさんと恋に落ちたいとはあまりもう思ってません。素敵な人に何人も出会えたので、思い出だけでおなかいっぱいだ。この小説は今の私にはロマンチックすぎるけど、そう思ってる気持ちのどこかにひっかかる部分がある。なんとなく、もし自分が小説を書くとしたら、こんな風にたくさんの出会いや偶然を重ねて何十年にもわたって時間が流れていくものを書きそう、な気がする。かつ、誰も傷つけず、繊細な登場人物たちがいつか心を通わせるような。なんでしょうね、この感覚。自分の心の中の、蓋をしてきた部分?

最近仕事が忙しくて、合間に近所のカフェに行くのを楽しみにしていたけど、今日は思い立って40キロも電車に乗って、山のふもとのカフェでこの本を読みました。そろそろ、そういう静かな生活にスイッチしていこうかな、という気持ちを、どこかちょっと後押しするような小説だった気がしています。