J.T.リロイ「サラ、いつわりの祈り」668冊目

これが「J.T.リロイ」名義での2冊目。時系列的にはこっちがずっと先で、4歳のジェレマイアが里親から娼婦の実母サラのところに戻され、福祉の人が聞いたらただでは済まないような逆境の中でゆがみながら育っていく様子がつづられています。

これってちょっと前なら作者不詳の「ケータイ小説」として出たようなものなんだろうな。

まだ10歳にもならない頃から母親に憧れて彼女の男を誘って、何針も縫うようなケガをしたり。お役所的にはこっちの小説のほうが年齢が低い分アウトだと思うけど、なんとなくこっちのほうがリアル。作者は結局のところ女性だったのに。

ウソはどこまでが許されるウソで、どこからが詐欺なのか。ウソのまったくない小説なんて存在するのか。

いろいろとモヤモヤ考えてしまうけど、本の内容も、著者の生い立ちから今へ至る人生も、マスコミの扱いの天と地も、すごく興味深い現象だなと思います。誰一人傷つけることなく歴史に自分の足跡をつけられたのは、やっぱりけっこうすごいことだったのかもしれません。

この本の映画も見てみよう。 

サラ、いつわりの祈り (Book plus)