村上春樹「猫を棄てる」764冊目

村上春樹のまだ読んでない本がけっこうあると気づいたので、順次読み進めてみる。

猫と暮らしてる私にはショッキングなタイトルだけど、どきどきしながら読んだら棄てた猫は自分たちより先に帰宅して待ってた、というオチがあって安心しました。というか猫を棄てるのがメインではなくて、村上春樹が自分の父について回想した文章でした。彼の日中戦争におけるノモンハンの悪夢の遠因とか、まるで伝記作家が故人の足跡をたどるみたいに書いてるのが興味深かったです。村上春樹ってあまり自分自身について語らない作家だと思ってたけど、こんな手記みたいなものを書いたり、早稲田に記念図書館を作ったり、だんだん変わってきたんだろうか。私は本を読むとそれを書いた作者の背景や心情まで考えてしまうほうなので、手掛かりが増えてちょっと嬉しいです。(これって野次馬根性かな…もしご本人が嫌なら引き下がりたいほうなんだけど、私は)